【ルノー トゥインゴ 試乗】コンパクトカーを楽しくする魔法のRRパッケージ…諸星陽一

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ルノー トゥインゴ
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昨年の東京モーターショーで日本初披露されたルノーのコンパクトモデル『トゥインゴ』に、ついに試乗することができた。

トゥインゴ最大の特徴はエンジンをリヤに搭載、リヤタイヤを駆動するRR方式を採用したこと。この駆動方式の採用は室内空間の確保にほかならない。かつて世の中を席巻したVWビートルやスバル360、そしてポルシェ365から911へのラインも室内空間確保も考慮してRR方式を採用したと言われている。

なるほどリヤにエンジンを移したため、運転席まわりのレイアウトは余裕があり、きちんとしている。フロントにエンジン、ミッションなどを積まなくてはならないFF方式はどうしてもフロントシートまわりを圧迫するが、トゥインゴはそうしたことがない。では後ろにきたエンジンが大いに影響するラゲッジルームはどうかというと、これが意外とけっこう使えるレベルだ。エンジンを49度傾けて搭載することでユニット高を抑え、通常状態で188リットル容量を確保。

リヤシートのシートバックは垂直状態に近い位置で固定可能で、このパターンだと219リットルに拡大する。乗員は多少きゅうくつな思いをするが、ギリギリの荷物が積めるのはなかなかいい。そしてリヤシート両方を前倒しすれば980リットルのラゲッジ容量を確保できる。(この数値は社内参考値として発表されたもので、発表時のイラストでは天井ギリギリまで荷物が入っていたので、実用上はもう少し減るかもしれない)。エンジン直上のフロアにはぶ厚いカーペットが敷かれ、遮熱を施してあるが、完ぺきに遮断というわけにはいかない。スーパーでの買い物は、室内においたほうが無難だろう。

トゥインゴの魅力はなんといってもその軽快なハンドリングにある。今の時代、コンパクトカーといえばほとんどがFF。駆動とステアの両方を前輪が担当するFFと、駆動は後輪、ステアは前輪となるRRではおのずとその走りは違う。トゥインゴの走りをひと言で言うなら、それはヒラリヒラリとした軽快感。アクセルを軽く抜いてステアしてやると、フロントの入り込みはさらに鋭くなり、ヒラリヒラリからヒュンヒュンに変わる。

デュアルクラッチ式の2ペダルマニュアル(ATモード付き)ミッションは、一般的なATやCVTとは異なり、アクセル操作にダイレクト感がある。このダイレクト感がアクセルのオンオフによる荷重移動をやりやすくしているため、クルマの動きにシャープさが増すのだ。加速に関しても、荷重がしっかりとかかるリヤタイヤを駆動しているので、力強くダイレクト。さらにブレーキについてもフロントが軽い分だけ負担が楽になるので、ハードブレーキでの精度は高くなるはずだ。

全幅1650mm、5ナンバーサイズのボディの取り回しのよさはバツグンにいい。都内の狭い一方通行に迷い込んだときなどでも、安心感は高いだろう。ストレスを持たずにクルマをドライブできるということは、非常に重要な項目。まさに日本にぴったりのクルマと言えるのがこのトゥインゴだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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