静岡県の大井川鐵道と公益財団法人日本ナショナルトラストはこのほど、日本ナショナルトラストが保有する「C12」形蒸気機関車164号機と客車3両の「トラストトレイン」について、寄託契約を締結した。C12 164の将来的な動態復元を目指す。
C12形は国鉄のローカル線向け小型タンク機関車。C12 164は1937年に製造され、木曽福島機関区(長野県)などを経て1973年9月に大井川鉄道(現在の大井川鐵道)が借り入れた。C11形227号機とともに大井川鉄道のSL列車をけん引してきたが、1984年春には運転を終了した。
その後、日本ナショナルトラストが全国から寄せられた寄付により、国鉄からC12 164と客車3両(スハフ43 2・スハフ43 3・オハニ36 7)を購入。1987年からは、この4両を大井川鉄道に貸し出す形で「トラストトレイン」の運行が始まった。
しかし、2005年に自動列車停止装置(ATS)の設置が義務づけられことや、その後の調査でボイラーに不具合が見つかったことから、C12 164の運行は終了。これ以降、「トラストトレイン」の客車3両は大井川鐵道所有の蒸気機関車がけん引するSL列車『かわね路号』に連結して運行されており、C12 164は新金谷駅構内の転車台上で展示されている。
大井川鐵道と日本ナショナルトラストが9月28日に発表したところによると、9月1日付であらためて寄託契約を締結した。これによりC12 164は「動態復元への道筋がつき、念願であった全車両連結の形での完全復活に向け始動」することになった。「トラストトレイン」は引き続き日本ナショナルトラストが所有権を持つが、復活に向けた工事や車両の運行・管理などは、大井川鐵道が主体となって取り組むことになるという。
C12 164は10年ほど自走していないことから、まずは車両状況の調査に着手する予定。この調査の結果を踏まえて資金調達方法や工期計画などを策定していく方針だ。客車は引き続き『かわね路号』に連結して運転するが、最終的にはC12 164がけん引する「トラストトレイン」として運行することを目指す。