北海道から埼玉へ、拠点を移した蒸気機関車C11形207号機。新たな住処となる東武鉄道南栗橋車両管区、略号=ミクリは、SL検修庫や試運転線、仮設ホームをはじめ、乗務員の訓練施設などが次々と整備され、これまでの風景を一変させている。このミクリの景色を24枚の写真とともに見ていこう。
南栗橋駅や、その北西に位置する南栗橋車両管区は、利根川、中川、権現堂川がつくる平地を行く東武日光線の幸手と栗橋の間にある。その広大な敷地は、日光線と東北新幹線の交差ポイント付近を南端とし、留置線や検査線、洗浄線などで埋まる。
“唯一の空き地”であった敷地の北東部分に、SL検修庫や試運転線、仮設ホームなどができた。2017年の春ごろには、車両基地の境界に延びる一般道からC11のけむりが垣間見え、汽笛が聞こえてくるはずだ。
敷地の南端に目を向けると、低階層の新しい建屋が見えてくる。これが2016年4月から稼働した東武鉄道「総合教育訓練センター」「人事部能力開発センター」「鉄道乗務員養成所」だ。
総合教育訓練センターには、営業トレーニング室、教材室、シミュレータ室、訓練線、信号連動教材室、事故から学ぶ展示室などが設置されている。ここでは、駅務機器操作教育やユーザー対応ロールプレイング教育、ワンハンドル車模擬運転台実習、事故対応実習、SL列車実習などが行われる。シミュレータは10000系と50000系のものが2基ある。
ミクリ周辺は、新築戸建住宅の販売が複数で見られた。売り文句のひとつに「静かな立地」と記されていたが、文字通り、南栗橋駅周辺は静か。飲食店は、駅前で2~3軒見つかるぐらい。昼間は東武の職員が駅と基地を行き来する姿があった。たまに栗橋競艇場「ボートピア栗橋」行き直行バスの姿も見える。
この総合教育訓練センターの向かいにある栗橋保育園の鉄道好きキッズはうらやましい。庭ではダッシュする東北新幹線といっしょにはしゃぎ、蒸気機関車の汽笛を聞きながらお昼寝できるのだから。