夕張 鈴木直道市長とJR北海道 島田修社長は、8月8日、JR北海道本社で面談し、夕張線廃止へ向けて話し合った。両者同意にいたる“市の想い”とこれからを、40枚の写真(千歳線、石勝線、夕張支線、夕張市街)とともにつづる。
「JR北海道とともに知恵を出し合いながらモデルをつくっていきたい」と切り出した鈴木市長は、「座して廃線を待つのではなく攻めの廃線」をJR北海道島田社長に提案。具体的に3つを願い出た。
ひとつは、「(JR側が同線廃止を決めたならば、今後整備する)複合施設の交通結節点などハード面での協力」、ふたつめは「JR北海道が所有する各種施設を市として使いたい施設があった場合、協力をしてほしい。必要性のない施設は、JR北の責任において対処を」。みっつめは、「JR北海道社員の市への派遣。(市長)自身が東京都からの派遣、いっしょにモデルをつくる」。
廃線のタイミングについて鈴木市長は「(今後整備する)複合施設が、2019年度供用開始を目指している。あわせて交通結節点の機能も必要。そのタイミングになるのではないか」と伝えた。
また夕張支線のあり方について市長は、「バス、タクシー、さらにJRが存在し、夕張支線がバス路線と並行して走っている。持続可能な公共交通はどういったものがベストかを考える時期。鉄道以外に、バス、タクシーの会社があるので、どうミックスして一番いい公共交通の形をつくっていくか、という議論になる」と述べた。
たとえば日中、新千歳空港から夕張へ、道東自動車道経由でクルマで向かうと所要時間は1時間。JRで特急「スーパーおおぞら」などを使って2時間。鈴木市長はこうも伝えている。
「夕張が先んじてモデルをつくろうと。夕張は財政破綻しているし、本当に厳しいところ。路線維持の基本的な収支のなかで、毎年1億6000万円の赤字を出していると。JR北海道のなかで廃線というカードを切れる状況にあること、高規格道路などが全体で整備され、北海道全体のJR利用頻度が少なくなっている現状の中で、それぞれが何をどうするのかを考えていかなければ」
写真は2013年8月下旬、新千歳空港からキハ40などを頼って夕張へ向かい、近隣高校に3時間ほど滞在し、その日に札幌へ戻ったときのもの。JR北と夕張市が、廃線に向けて前進したことについて、駅前「ゆうばり屋台村」のスタッフは電話で「もともとクルマの利用客が多い。そのまま放っておいても赤字続き。次の一手に期待したい」と話していた。JR北海道は9日、夕張市の提案をおおむね受け入れることを決めた。