JR北海道、石勝線の夕張支線を廃止へ…沿線自治体が廃止「容認」

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JR北海道は8月17日、石勝線の夕張支線を廃止すると発表した。同日、夕張市の鈴木直道市長に廃止を申し入れた。

夕張支線は、夕張市内の新夕張~夕張間16.1kmを結ぶ鉄道路線。夕張炭田で産出される石炭の輸送を主な目的として、1892年11月に開業した。戦後のいわゆる「エネルギー革命」で、燃料の主役が石炭から石油やガスに移ると、沿線の炭鉱も閉鎖されて貨物列車の運行が終了。旅客列車も自動車輸送の発達や人口の減少に伴い利用者が減少した。1日の平均通過人員(旅客輸送密度)は1975年度が2318人だったが、同社が発足した1987年度は1129人に。さらに2015年度には118人まで落ち込んでいる。

JR北海道の発表などによると、同社は今年7月、「『持続可能な交通体系のあり方』について」と題した方針を発表。「北海道は、全国を上回るスピードで人口の減少が進んでいることから、それぞれの地域特性に応じた持続可能な交通体系のあり方について、地域の皆様に早急なご相談を開始させていただきたい」とし、利用者の少ないローカル線を中心に鉄道の廃止に向けた協議を行う考えを明らかにした。

これに対し、夕張支線を抱える夕張市の鈴木市長は8月8日、「線区(夕張支線)を今後も将来に亘って維持することが困難である以上、ピンチをチャンスに変えて、この機会に将来を見据えて効率的で持続可能な交通体系を夕張市に構築したい」との考えをJR北海道に示し、交通体系の再構築などを条件に夕張支線の廃止を容認した。これを受けてJR北海道は、夕張支線の廃止を正式に申し入れたという。

廃止の時期について、JR北海道は「今後の協議を踏まえ別途提案させていただく」としている。

《草町義和》

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