東京地下鉄(東京メトロ)は8月7日、南北線で運用している9000系電車のリニューアル車を報道陣に公開した。8月15日から営業運転に入る。
南北線は、目黒(東京都品川区)~赤羽岩淵(北区)間21.3kmを結ぶ地下鉄線。目黒駅で東京急行電鉄(東急)の目黒線、赤羽岩淵駅で埼玉高速鉄道線と接続して相互直通運転を行っている。
9000系は1991年11月、駒込~赤羽岩淵間の開業にあわせ、試作車を含む1次車が運用を開始。当初は4両編成だったが、南北線の延伸にあわせて中間車2両を新造し、6両編成に増強している。このほか、当初から6両編成の2~5次車が2009年までに導入されており、現在は138両(6両編成23本)が運用されている。
東京メトロによると、138両のうち初期に製造された01~08編成の48両(6両編成8本)をリニューアルする。千代田線の綾瀬車両基地で行われた報道公開では、最初のリニューアル車である05編成が報道陣の前に姿を見せた。
車体は帯塗装を変更。側面の窓下帯を縦方向に動きのある「ウェーブデザイン」に変更し、窓上にも新たに帯が入れられた。南北線各駅のホームドアは、ガラス窓が天井近くまで覆っている「フルハイト式」で、窓下の帯しか見えないが、東急目黒線などの駅では車両下部のみ鉄板で覆った「ハーフハイト式」のため、逆に窓下の帯が見えない。このため、窓上にも帯を入れることにしたという。
客室内は、床材や座席横の仕切りの色を南北線のラインカラーであるライトグリーンにし、南北線の車両であることが分かるようにした。内板の色は、LED照明の使用を考慮して「眩しくなりすぎず、かつ明るく見えるように」(東京メトロ)アイボリー系が採用された。また、座席横の仕切りは大型タイプのものに変わった。
車両端部の座席は、今回のリニューアルで大きく変わった。クロスシートは全て撤去し、その代わりにロングシートの優先席や一般席、車椅子などに対応したフリースペースを配置し直した。これにより、全ての車両にフリースペースが設けられることになった。
走行装置も環境負荷の低減を目指し、大幅に変更。制御装置は高効率のフルSiC素子を採用し、補助電源装置も高効率SiC素子を採用したSIVを2台搭載した。SIVは「並列同期/休止運転方式」を導入。消費電力が少ない場合は2台のうち1台を自動的に休止させ、エネルギーロスを減らすという
モーターは従来と同じ三相誘導電動機だが、1時間定格225kW(リニューアル前は190kW)にアップ。従来はモーター付きだった3号車(9300形)をモーター無しに変更した。ひし形の集電装置(パンタグラフ)は交換してないが、パンタグラフの上昇検知装置が追加された。
05編成は8月15日から営業運転に入る予定。他の7編成も2020年度までにリニューアルが完了する予定だ。