【ルマン24時間 2016】トヨタ、逸勝トラブルの真因究明中…今季WEC王座戦線のカギは信頼性か

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優勝目前でトラブルに遭遇したトヨタ5号車。
  • 優勝目前でトラブルに遭遇したトヨタ5号車。
  • トヨタ5号車はなんとか最終周を走り切るも、正式な完走認定を受けられず。
  • ゴール後、マシンを降りた中嶋一貴。
  • 5号車を駆って力走した中嶋一貴。
  • レース前のトヨタ陣営。
  • 僚機のトヨタ6号車が最終的に総合2位となった。
  • 2台そろって高いパフォーマンスを見せたトヨタ勢。
  • トヨタの悲願であるルマン制覇は来年に持ち越された。

18~19日の「ルマン24時間レース」(世界耐久選手権=WEC第3戦)決勝、トヨタは残り数分で5号車「TS050ハイブリッド」にマシントラブルが発生し、目前の総合優勝を逃した。WEC王座争奪戦への再発進を前に、23日、トラブルについての声明が発表されている。

以下、トヨタGAZOOレーシングのリリースより。

「ルマン24時間レースの最終盤、5号車を襲ったトラブルはターボチャージャーとインタークーラーを繋ぐ吸気ダクト回りの不具合によるもので、これにより、ターボチャージャーの制御が失われた。

不具合発生時、原因が特定されていない段階で、低下したエンジン出力を回復させるべく制御系の設定変更が試みられた。結果的には5号車はファイナルラップを走り切ることができる状態となったものの、その対応には時間がかかり、規定されている6分以内にファイナルラップを終えることができなかった。

このトラブルの真因については現在ドイツ・ケルンのトヨタ・モータースポーツ有限会社(TMG)にて詳細を調査中。

なお、今回の原因が、WEC第2戦スパ6時間レースでのエンジントラブルとは無関係であることは明らかとなっている。

今後、同様のトラブルの再発防止のため、TMGで徹底的な原因究明調査を進めている」

A.デビッドソン、S.ブエミ、中嶋一貴のトリオが駆るトヨタ5号車は、勝利をほぼ手中にしたと思われる状況から、残りわずか数分の段階でスロー走行に陥りストップ(のちに再走)。トヨタにとって悲願のルマン総合初優勝を逃した。

優勝はポルシェ2号車で、ポルシェは2連覇を達成、自己のもつルマン総合優勝最多記録を「18」に更新している。トヨタ5号車はなんとか最終周を走り切るが、2位での完走認定も受けられず、周回数的に離れた3番手を走っていた小林可夢偉組のトヨタ6号車が繰り上がりのかたちで2位となった(ルマン総合2位はトヨタにとって5回目)。

それにしても今季のWEC最前線、トヨタとアウディ、ポルシェが競い合う「LMP1-Hクラス」は、様々な意味でトラブルやアクシデントの発生率が高い。ルマンでも3社合計6台のうち、ほぼヘルシーにレースを完遂できたといえるのは、ポルシェ2号車くらいのもの。2位となったトヨタ6号車も24時間という尺度で見ればその範疇といえなくもないが、3~4位のアウディ勢はまったくもって順調とはいえない展開だった。

コースでも技術でも激しく戦っているがゆえに、今季はWEC序盤2戦も似たような状況で3社の戦いは推移してきており、大一番のルマンを終えて今度はシリーズタイトルをかけた戦いに移行していくなか、6時間レースでも波乱万丈な展開が続いていくかもしれない。ファンにとっては、ある意味で非常に(非情にも)面白いシーズンとなる可能性もありそうだ。

全9戦で構成される今季のWEC、次戦は7月24日決勝の第4戦ニュルブルクリンク6時間レース。トヨタGAZOOレーシングにとっては、2年ぶりのWECシリーズタイトル獲得に向けて仕切り直しの一戦となる。トラブルとは無縁のレースを戦うことができれば今季の王座争いでは大きなアドバンテージとなりそうなだけに、真因究明とさらなる信頼性確保に期待したい(10月16日決勝のWEC第7戦は富士スピードウェイでの開催)。

《遠藤俊幸》

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