ボッシュは二輪車向け「サイドビューアシスト」を、国内で初めて展示した。横浜パシフィコで開催中の「人とくるまのテクノロジー展2016」(自動車技術会主催)で、25日~27日まで見ることができる。
同社は自動車をはじめとする産業用テクノロジーで様々な分野を支える多国籍企業だが、日本は二輪車開発の世界における拠点として位置付けられ、安全性の向上やスポーツライディングのための優れた技術を提供する。サイドビューアシストも、その技術の1つで世界に先駆けて実用化された。二輪車の死角を走る車両を感知して、ライダーに警告する。最初に同社のシステムが搭載されたのは、ドイツ仕様のBMWスクーターC650GTだった。
サイドビューアシストは、昨年11月の二輪車ショー「EICMA 2015(ミラノショー)」で発表されて評価を高めた。4つの超音波センサーをコントロールユニットが制御する。車両の両側を監視。ライダーの死角となる最大5mに入る車両があった場合に警告する。同社展示スペースでの搭載例では、ライダーの膝前に前側のセンサー、リアシート下に後側のセンサーを配置していた。警告はサイドミラー近くで警告マークを明滅させて視覚で知らせる。車線変更時の不十分な側方確認などを補うほか、接近する車両を知らせて接触事故を防ぐ
死角の少なく思える二輪車だが、14年11月には首都高速5号池袋線で、バイクの車線変更をきっかけとして3台のバスが玉突き、57人が軽傷を負う事故も起きている。運転支援があれば、という事故の典型だった。
同社は前後のセンサーを左右一対にし、それぞれに役割を持たせることで、運転支援の信頼性を高めた。後方のセンサーは隣接する左右の車線内の死角を監視する。前方の2つのセンサーは、4つのセンサーが検知する情報の確かさを検証するためにある。例えば、後方より前方のセンサーが最初に物体を検知した場合は、左側なら駐車車両、右側ならすり抜けや対向車と判断して警告はしない。後方の超音波センサーのどちらかが前方のセンサーよりも先に物体を検知した場合だけ警告するのだ。さらに、アシストは車速が25~80km/hで作動し、相対速度が10km/h以内の場合だけライダーをサポートする。
こうしたアシスト性の向上で、頻繁な車線変更が必要となる市街地での走行でライダーのストレスにならず、安全性の向上に大きく寄与する。