お手軽だけじゃない、耕した土もフワフワに…ホンダのコンパクト耕うん機「ピアンタ」試してみた

試乗記 国産車
ガスボンベ式耕うん機「ピアンタFV200」を試す
  • ガスボンベ式耕うん機「ピアンタFV200」を試す
  • ガスボンベ式耕うん機「ピアンタFV200」を試す
  • ロータリー刃がしっかりと食い込んで地面を耕していく
  • 小学3年生の息子もなれれば作業が可能だった
  • 仕上がった土はしっかりと空気を含んだふかふかな状態。
  • スタイリッシュなデザインの全体
  • 本体の上側にスターターを装備する
  • スロットルはハンドルの右側に付く。握ると回転が上昇

2010年から区民農園(正式には親子農園という名称)を借りて、農業のまねごとをしている私。前から気になって気になってしかたなかったのが、ホンダのガスボンベ式耕うん機。それをついに試すときがやってきた。

私が借りている中野区の農園は、毎年4月から2月末までの10か月が使用期間。期間終了ごとに返却するのがルール。毎年、使い始めのときはしっかりと耕して地面を柔らかくしてやる必要がある。今までは当然のように手で耕していた。使う道具はクワとスコップだ。9.9平米と言われている(感覚的には6.6平米程度)の区画を耕すのは1日仕事で、作業終了時には身体はフラフラだ。

使った耕うん機はガスボンベを燃料として駆動する『ピアンタFV200』。利用者はみな手作業で畑を耕しているので、そこに機械を持ち込むのは少々申し訳なさを感じたが、以前聞いたことがあるピアンタFV200のノイズはさほど大きいものではなかったので、安心感はあった。農園には駐車場はないので、ピアンタを速やかにクルマから降ろしてコインパークに移動することなるが、20kg強のピアンタはステーションワゴンのラゲッジルームから降ろすのも楽。

装着されているタイヤは移動用のもので作業時は「抵抗棒」と言われるL字型の金具を取り付ける。当然だが樹脂性のカバーも取り外す。折り畳まれていたハンドルを元に戻し、カセットボンベをカートリッジに装着。カートリッジを本体に戻せば準備は完了だ。エンジンの始動はリコイルスターターと言われるもの。取っ手のついたロープを勢いよく引く方式だ。エンジンを始動すると小気味よい音でアイドリングを始める。スロットルコントロールはハンドル右側に装着されたレバー(バイクのブレーキレバーのようなもの)を引くことで行う。

畑の土の上でスロットルレバーを引くとピアンタが前進してしまい、うまく掘ることができない。これは地面が固くロータリー刃が食い込んでいかないから。じつはピアンタの操作にはコツがある。本体を前傾させるとピアンタは前進、後傾させるとその場に止まって地面を耕す。このために必要なのが抵抗棒で、抵抗棒がまさに抵抗となってロータリー刃が地面に食い込んでいく。

最初はこのコツをつかむのが難しいが何度かやっているうちにだんだんとできるようになってくる。大切なのは腰の位置がハンドルのグリップあたりにくること。あまりハンドルから離れすぎるとうまくいかない。

この親子農園で耕作を始めたのは子供が生まれたからで、主役は子供である。そこで小学3年生の息子にもピアンタを使ってもらった。最初は私が後でサポートしながらだが、コツを覚えさせると1人でも十分にコントロールができた。ただし子供だと真っ直ぐ行くだけで、方向転換するのが難しい。

ピアンタは排ガスもクリーンだ。4サイクルなので排ガスは透明。2サイクルのようにオイル混じりの白い排ガスではない。そして燃料がカセットガスなので刺激の少ない排ガスとなる。感覚としてはタクシーの排ガスに似ている。今回、1区画を2回耕して使ったガスの量は112g。カセットガスは1本250g入りなので約半本を使ったことになる。

ピアンタの性能でなによりも素晴らしいのが、耕した土の品質の高さ。手で持ち上げてみると空気をたっぷりと含んでフカフカになっているのを確認できる。手作業でここまでやるのはまず不可能。世の中、とくに農作業などは手作業こそ一番のような風潮があるが、機械ならではのよさがそこにあった。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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