東武鉄道の東上線で脱線事故…台車に亀裂

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東武鉄道東武東上線の中板橋駅(東京都板橋区弥生町)付近で脱線した普通列車
  • 東武鉄道東武東上線の中板橋駅(東京都板橋区弥生町)付近で脱線した普通列車
  • モーターや車輪を支える台車枠に長さ15センチほどの亀裂が入った
  • 東武東上線普通列車脱線で「全力に復旧にあたる」と話す鉄道事業本部・都築豊取締役(中央)
  • 脱線した列車と同型の台車。右側にある楕円の左側に亀裂が入った。原因は調査中

18日12時12分頃、東武鉄道東武東上線の中板橋駅(東京都板橋区弥生町)付近で、列車脱線事故が発生した。同日23時現在、池袋~上板橋駅間で運転を見合わせている。

列車を撤去するためには、亀裂の入った部分を再溶接して補強し、再びレールに乗せる必要がある。鉄道事業本部長の都築豊取締役は「明日の初列車には必ず間に合うように全力をあげて復旧作業にあたっている」と、謝罪した。

事故は11時58分成増発池袋行きの普通列車で起きた。中板橋駅を発車し大山駅に向かう途中で非常報知器が鳴動、運転士がブレーキをかけて停止した。走行時は約30km/hで、列車はホームの端から約400メートル走って止まった。非常報知器を作動させた乗客は「車両の外に煙のようなものがあり何かあったと思った」と話す。また運転士も発車後の加速が悪いと感じたという。

停止した列車を点検したところ5両目車両の一部が脱線したことがわかった。ホーム端から50メートルほど先にある分岐器保安部品が損傷して、その先の枕木にレールと並行する長い傷がついていたため、列車は発車ほどなく脱線したと見られる。列車停止までの間にあるATC(自動列車制御装置)のレール側の地上装置(地上子)にも損傷が見られた。

脱線した車両の客車を載せた台車の一部には、台車枠に150ミリ、もっとも開いた部分で12ミリほどの亀裂が入っていた。台車枠はモーターや車輪を支えている。脱線の原因かどうかを確認している。車両は1989年10月製だが、3か月ごとに目視や打音で点検していて、3月7日の点検では異常なかったと同社は話している。同社が所有する同型の198両についても18日中に点検を行った。

乗客に負傷者はなく、非常停車後に歩いて中板橋駅に戻った。

《中島みなみ》

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