【スズキ イグニス 試乗】走りは骨太、デザインにほれるクルマ…青山尚暉

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スズキ イグニス
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『イグニス』は『ソリオ』から譲り受けたスズキ最新のAセグメントプラットフォームを使ったコンパクトクロスオーバーSUV。

ソリオとは、モーター3.1ps、5.1kgmのマイルドハイブリッドシステム、91ps、12.0kgmの1.2リットルエンジン、CVTまで一緒だが、ファミリー向けのプチバンとも言えるソリオとはキャラクターはまるで別物。こちらはズバリ、アグレッシブなライフスタイルを送るカップル向きの、悪路や雪道にも強い、燃費とデザインを最優先した世界戦略車という位置づけだ。

JC08モード燃費はクロスオーバーSUVとして文句なしの最高28.8km/リットル。デザイン的には『セルボ』などスズキの往年の名車たちのディティールを随所にモチーフとして取り入れているのも大きな特徴だ。かつてのスズキのクルマに乗っていた人たちならきっと心に刺さるに違いない。

イグニスの大きな魅力は、商品力が全幅1660mmというナローな車幅による運転のしやすさと、クロスオーバーSUVにして1600mm以下対応の立体駐車場に入庫可能な1595mmの全高、そして見せかけのクロスオーバーSUVではない走破性を持つことだ。FF/4WDを問わず最低地上高は180mmと、ソリオの140mmに対して圧倒的なアドバンテージ、走破性を誇り、ちょっとした悪路や雪道でも安心安全なのである。

しかし、ボクがよりインパクトを受けたのはパーソナル感溢れるブラック×ホワイトのコントラストが粋なインテリアのほうだ。スイッチ回りのメカニカル感、Apple CarPlay対応ナビの最新のタブレットを思わせる角を落としたスタイリッシュさ、高精細な画面、そしてUSB & 12V端子の蓋にシルバーリングが施されたこだわりのデザインにも驚かされたのである。

そう、イグニスはデザインに惚れられるクルマでもあると思う。

最初に5人乗りのコンパクトクロスオーバーSUVにもかかわらず“カップル向き”とあえて記したのは、理由がある。ルーフのカプセルデザインにこだわった結果、リヤドアの開口部天地が狭く(ソリオ1230mm、イグニス1020mm)、また後席が前席に対して85mmも高くセットされているため(シアターポジションということ)、乗降時に頭がルーフに当たりやすいからだ。

とはいえ、後席は着座してしまえばフロアからのシート位置が高く、いす感覚でゆったり座ることができ、身長171cmのドライバーの背後でひざ回り空間は150mmもあり、ソリオと違いフロア中央に凸はあるものの足元広々(ホイールベースはソリオより45mm短い)。前方視界もルーミーだ。

FF車は動力性能こそ必要十分レベルだが、がっちりしたボディー、足回りが光り、ソリオより100kg軽い車重もあって走りは骨太にして軽快。乗り心地は欧州仕様と共通の足回りを持つためやや硬めだが、サスペンションがしなやかによく動き、荒れた路面や突起を通過しても当たりは角が丸められショックは軽微。しっかりフラットで快適感あるタッチが好ましい。

安定感はもう抜群で、山道でも軽快かつリヤがしっかりねばるフットワークによって実に安心して走れるのもイグニスらしさ。平均的なドライビングスキルの持ち主なら、カーブや山道で運転が上手くなったと感じるはずだ。

一方、4WD車はヒルディセントコントロール、グリップコントロールも装備し、下り坂や滑りやすい路面でも一段と安心安全。FF車に対して40kg増しの車重だから平坦路はともかく、登坂路での余裕がやや薄まるのは当然で、そのシーンでエンジンが比較的高回転を使うため、ノイズは盛大。また、3500回転付近でこもり音が発生し、車内の音のすっきり感でFFに及ばない。が、全体的な走りの質はFF車と同等。積極的に選べる4WDと言っていいだろう。

そんなイグニスはセーフティパッケージを選べば先進安全装備も満載となり、150~160万円前後の価格は文句なしに買い得。前席優先のデザイン性に優れる、ちょっぴり本気なクロスオーバーSUVとしての総合商品力は極めて高いと思える。

ちなみにスズキグリーンテクノロジーをフル搭載したイグニスの燃費性能は、くり返すけれどFFで最高28.0km/リットル!! 車重が100kgも重いソリオが最高27.8km/リットルだから、もっとよくてもいいのでは? という疑問が残るかも知れないが、それはソリオより大径の16インチタイヤを装着し、最低地上高が高いのが(空気抵抗で不利)理由である。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
ペットフレンドリー度:★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車専門誌の編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に寄稿。自作測定器による1車30項目以上におよぶパッケージデータは膨大。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がけ、犬との自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーの活動も行っている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
《青山尚暉》

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