国土交通省は、昨年末から貸切バスの車両火災事故が複数発生した中で、デファレンシャルオイルが潤滑不良の状態で走行を続けたことによるものがあったことを受け、未然防止について関係事業者に通達したと発表した。
デファレンシャルは、車両がカーブを走行する際、左右の車輪に回転数の差が生じるため、動力源から両輪に同じ回転力を振り分けて伝えるための装置。
事業用自動車の車両火災事故の防止は、これまでにも注意喚起してきているが、昨年末から車両火災事故が複数発生している。
今年1月31日岡山県津山市、2月8日の北海道勇払郡でそれぞれ発生した火災は、いずれも貸切バスが走行中、後軸付近から出火したもので、その状況から、「デファレンシャルオイルが不足または著しく劣化したことにより、潤滑不良となった状態で走行を続けたことから同装置の内部が過熱し、火災となったもの」と推定されている。
このため、国土交通省では、日本バス協会、全日本トラック協会に対して「デファレンシャル・オイル不良による火災事故防止の徹底について」を通知、会員事業者に対策を呼びかけるよう求める。日本バス協会会員以外のバス事業者に対しては、各地方運輸局を通じて、同様の周知を図る。
具体的には、デファレンシャル周辺のオイル漏れの有無を点検し、オイル漏れがある場合は所要の整備を実施することや、デファレンシャルオイル量を点検し、不足している場合は補給すること、デファレンシャルオイルの自動車メーカー推奨期間を参考として交換することを求める。