トヨタ自動車とヤンマーは1日、マリン事業で業務提携することで合意したと発表した。両社は今後、マリン事業での技術開発、生産、部品の相互利用などの幅広い分野で協業を進める。
トヨタは現在、アルミ製の船体(ハル)と自動車エンジンを採用したプレジャーボートを製造・販売している。ヤンマーは、産業用ディーゼルエンジンを事業の柱とした総合産業機器メーカーとしてのノウハウを生かした船舶用エンジン、FRP製ハルのフィッシングボートや業務用船舶を製造・販売している。
アルミ製ハルは、熟練した加工技術が必要で、生産量に限りがあることなどから、トヨタは2年前からアルミ製ハルと同等以上の剛性を持ち、生産性の高い、FRP・カーボン・アルミの複合素材による次世代ハルの開発を進めてきた。
この過程で、ヤンマーが持つ高度なFRP成型技術に着目、2015年から次世代ハルの生産技術開発を共同で進めてきた。今回、アルミハルと同等の剛性に加え、軽量、複雑な曲面形状にも対応できる「トヨタハイブリッドハル」量産化技術の開発に業界として初めて目途が付いた。このハルを採用した試験艇「TOYOTA-28コンセプト」を完成、従来の同型艇を上回る走破性、旋回性能を確認したとしている。
また、トヨタは試験艇の商品化も並行して進めており、ヤンマーにトヨタハイブリッドハルに加え、舟艇の製造も委託する予定。このハルを採用した船を今年10月に発売する計画で具体的な準備を進めている。
トヨタでは今後、トヨタハイブリッドハルをベースに、自社のプレジャーボートのラインナップを強化するとともに、舟艇の供給能力増強を目指してヤンマーとの協業を進める方針。
また、トヨタとヤンマーは、今回の技術開発、生産分野での協業を機に、エンジンを含めた主要部品の相互供給や、商品開発、販売、アフターサービス分野での協業も検討する。トヨタはプレジャー系、ヤンマーがフィッシング系に強いことから、相互補完体制を構築していく方針。
トヨタハイブリッドハルを採用した「TOYOTA-28コンセプト」は、3月3日からパシフィコ横浜(神奈川県横浜市)で開催される、ジャパンインターナショナルボートショー2016のトヨタブースに出展する。