【池原照雄の単眼複眼】トヨタが4年連続首位、ホンダは7位に上昇…15年世界販売ランキング

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上位10社は総じて伸び悩んだ15年

2015年の自動車メーカーの世界新車販売ランキング(連結・グループベース)を、各社の発表資料を元に集計した。トヨタ自動車(ダイハツ、日野自動車含む)が4年連続の首位になるなど、上位10社の顔触れは14年と同じだった。だが、同年にはなかった順位変動があり、ホンダが8位から7位にランクアップ、FCA(フィアットクライスラーオートモービルズ)と入れ替わった。一方で上位3社は小幅ながら台数を落とし、ヒュンダイ(キア含む)やスズキなども前年並みと、上位10社の販売は総じて伸び悩んだ。

●2015年の世界販売ランキング(カッコ内は前年順位と増減率)
1(1)トヨタ 1015万台(▲1%)
2(2)VW 993万台(▲2%)
3(3)GM 984万台(▲1%)
4(4)ルノー・日産 853万台(1%)
5(5)ヒュンダイ 788万台(0%)
6(6)フォード 664万台(5%)
7(8)ホンダ 471万台(5%)
8(7)FCA 461万台(0%)
9(9)PSA 297万台(1%)
10(10)スズキ 288万台(0%)

15年の世界の新車需要は、最大市場である中国が2年連続で伸び率を低下させたものの、前年比5%増の2459万台と堅調だった。2番手の米国は6%増の1747万台となり、ピークだった2000年を上回って15年ぶりの最高更新となった。米国市場は、リーマン・ショック後の09年に1043万台(21%減)と大きく縮小したものの、10年から6年連続で拡大を続けている。一方で3番目に大きい日本は、2大市場とは対照的に9%減の505万台と、大きく落ち込んだ。14年4月の消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動が長期化したのに加え、15年4月からの「軽自動車税」増税が打撃となった。

◆日本勢は中・米の2大市場で攻勢

10位内の日本勢4社は、国内の不振を主に中・米の2大市場でカバーし、前年レベルの販売を確保している。トヨタは小幅減で4年ぶりのマイナスとなったものの、14年に自動車メーカーとして初めて到達した1000万台ラインは2年連続で維持した。同社は米国が5%増の250万台、最高となった中国が9%増の112万台と大市場をしっかり攻めた。米国では乗用車市場(ライトトラック除く)で『カムリ』と『カローラ』が1、2位を独占した。

仏ルノー・日産自動車(露アフトワズ含む)は小幅ながら7年連続での成長を確保した。日産は2%増の542万台、ルノーは3%増の280万台と、いずれも最高を記録した。日産は米国でも7%増の148万台と市場を上回る伸びを確保し、最高を更新した。15年の世界販売の伸び率が5%と、米フォードモーターと並んで最も高かったホンダも、米国と中国で最高を更新して国内の不振(14%減)をカバー、ランキングをひとつ押し上げた。

◆スズキはインドの好調を「軽」不振の日本が相殺

14年にトヨタとともに1000万台に到達、15年の折り返し時点ではトヨタを上回る勢いだった独VW(フォルクスワーゲン)は、9月にディーゼル車の排ガス不正工作が発覚した。3年連続で2位につけたものの、1000万台は割り込んだ。米GM(ゼネラルモーターズ)は、3年連続での最高更新はならなかったが、米国、中国とも好調でほぼ前年並みの販売を確保した。米国では、原油安を背景とした大型ピックアップトラックなど収益貢献の高いモデルの回復も際立っている。フォードのピックアップ『Fシリーズ』は、15年もモデル別でベストセラーとなり、連続記録を34年に伸ばして躍進の原動力となった。

経営統合によって13年に初めて7位にランクインしていたFCAは、15年の販売が横ばいとなり、順位は8位に後退した。旧クライスラー部門が米国で8%の伸びを確保するなど健闘したものの、伊フィアットグループが市場の悪化している南米などで苦戦した。このほか、韓国ヒュンダイ、仏PSA(プジョーシトロエングループ)、スズキもほぼ前年から横ばいとなり、順位変動もなかった。スズキは乗用車で半数近いシェアをもつインドが好調だったものの、軽自動車が不調の国内が19%もの落ち込みとなって相殺する格好となった。

《池原照雄》

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