ハイブリッド車(HV)を設定するなどの改良を加えたホンダの『オデッセイ』は、2月5日の発売後10日間での受注が、月間販売計画の4倍強に相当する8400台と好調な出足となった。
5代目となった現行モデルの全面改良(フルモデルチェンジ)は2013年11月だが、HVの設定はその改良時からの規定路線だったという。
開発責任者である本田技術研究所四輪R&Dセンターの中川真人・LPL主任研究員はHVの展開が前提のため「最も苦労したのはパッケージングだった」と語る。上級ミニバンにふさわしい室内空間を確保しながら、バッテリーやECU(電子制御ユニット)などHVに必要なユニット類のスペースを捻出しなければならなかったわけだ。
そこで中川氏らが着目したのが輸出用車両のみに必要なスペアタイヤのスペース。1列目の座席下に収容するようにし、当面は日本専用となるHVではバッテリーとECUをこのタイヤスペースに収めることにした。フロア下の活用は初代モデルから続く『フィット』の燃料タンク収容を連想させる。
日本ではスペアタイヤはパンク修理キットで代用できるので、輸出車両用のタイヤスペースに着目した。思い切った「割り切り」が、オデッセイの伝統であるゆとりの空間を守っている。