米国ネバダ州の都市ラスベガス。カジノで有名なこの観光都市では、観光客が多いということもあり、自動車社会の米国では珍しく公共交通機関が発達していることで知られている。モノレール、バス、タクシーと、レンタカーを借りずとも主な観光地の移動には支障はない。
そんなラスベガスに昨年の9月中旬から正式にサービスを開始したのが、2014年の11月からネバダ州で業務停止命令を受けていた配車サービスの「Uber(ウーバー)」だ。ネバダ州の交通機関の規制に合格していないとして業務停止命令を受けていたが、利用希望者による署名活動などが行われ、昨年9月に正式な許可を取得し、約1年ぶりに戻ってきた形だ。
Uberは、スマートフォンの専用アプリ上で出発地と目的地を入力するだけで、近くを走るUberドライバー(一般人)が迎えに来てくれて、目的地まで送り届けてくれるというサービスだ。日本では法整備の面からサービスが開始していないものの、世界中の都市で爆発的に普及し始めている。
正式にサービス開始からまだ半年も経っていないにも関わらず、すでにその普及は進んでいると言う。ラスベガスでUberドライバーとして働くアルさんは「ラスベガスでは空港からUberを利用する人が多い」と、その利用状況を語る。空港でのピックアップが認められていない都市が多くあるUberだが、マッカラン(ラスベガス)空港でのピックアップは昨年12月に許可が下りた。観光客が多いこともあり、ラスベガスでのUberの普及に拍車をかける。
とは言え、Uberドライバーのスタニスラバスさんは「ラスベガスには、モノレール、タクシー、バスのような交通機関がたくさんある。(ラスベガスには)世界中のいろんなところから人が来るが、Uberのことを知らなくてタクシーを使う人が多い気がする」と、街中を多く走るタクシーにすぐに置き換わるとまではいっていないと話した。
しかし、Uberドライバーとして働く人からは、今後タクシーからUberへ利用者は移っていくだろうと予想する声も上がっている。「今ラスベガスではタクシーがすごく稼いでいる」というのは、Uberドライバーのバセットさん。「でもタクシーには車内の清潔さや金銭のやり取りの手間など悪い面がいろいろある。これからはUberが流行るのではないか」と、利便性はUberの方に分があると語った。
ラスベガスにおいて、まだそれほど大きな存在にはなっていないUber。交通機関がすでに発達している米国の巨大な観光都市において、どれほどまでその存在感を高めていくのか、注目だ。