【トヨタ プリウス 試乗】プリウスという名が付いた別のクルマ…中村孝仁

試乗記 国産車

トヨタ プリウス
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新しいトヨタ『プリウス』に試乗した。4世代目のモデル。言わずもがなのハイブリッドだ。しかし、先代から継いだのは名前と基本システム、それに良いであろう燃費だけ。クルマとしては別物だと言って過言ではない。

少々大袈裟に聞こえるかもしれないが、事実そのくらい大きな変化があった。まず燃費について話をするが、最高値は40.8km/リットルだそうである。しかし、たった1時間の試乗で燃費が試せるわけでもなく、2台乗った両車のコンピューターが弾き出した燃費の平均は、20.85km/リットルであった。

随分悪いと感じるかもしれない。しかし、試乗車は誰が乗るかというと、大方は飛ばし屋で燃費を気にしないモータージャーナリスト。それにハンドリングを試すという名目で、結構な勢いでコーナーを攻める。結果、1台目に乗った方は、初めから平均値が17km台とかなり悪かった。つまりは燃費などまるで気にせずブイブイと飛ばしたところで17km/リットルを確保できるともいえる。これなら、まあ悪いとは言えまい。

燃費の話はこれくらいにして、引き継いだシステムは1.8リットルのガソリンエンジンと、ハイブリッドシステム。と言っても全く同じではなく、エンジンは排気量こそ一緒だが、最大熱効率を40%にまで引き上げているし、トランスアクスルもモーターを複軸配置として全長を短縮。20%の損失低減を実現。さらにPCUでも20%の損失低減をするなど細かい部分で丁寧にロスを拾い集めている。

格好もまあ2代目以降と同じ、ハッチバックスタイルでルーフが緩やかにリアに向かって下がるデザイン。そしてリアガラスは高いヒップポイントによる視界不良を避けるために2枚仕立てとしたタイプである。今回の特徴はルーフのピーク位置を従来よりも170mm前にずらしてリアエンドのスポイラーの高さを55mm引き下げた少し前のめりなデザインとなっている点。ピークの位置がほぼドライバーの頭上に来ているためか、ドライバーズシートの解放感はかなり旧型より高く、一方でなだらかに下るルーフに頭の位置が来るリアの空間は、小柄な僕が乗っても頭上に拳一つ入らない結構タイトなスペースとなった。もっとも、レッグスペースに関しては文句なく広い。

名前を含めたここまでが、旧型から基本を引き継いだ部分。一方で全く引き継いでいない第1点は、一新されたアーキテクチャ、「TNGA」の採用である。この新しい基本構造に加え、リアサスは新たにダブルウィッシュボーンを採用。さらに重心を下げるべく、パワートレーンユニットを従来より10mm低く搭載し、ドライバーのヒップポイントを59mmも下げている。またボディ全体のサイズ感は、全長で従来比+60mm、全幅で+15mm、全高のみ-20mmとなっている。

もっと引き継いでいなかったのが、乗り心地とハンドリングである。これはもう、プリウスという名の付いた別なクルマであった。乗り出した瞬間からおやっ? と思わせるほどしっかりとした足取りで、燃費を気にして軽量化したペラペラ感(先代まではそれを感じてしまった)が全くなく、重厚とまではいかないまでもドシッと落ち着いた乗り味を得ていた。

因みにこれは17インチタイヤを履いた方。15インチを履いた方は、高速でのステアリングの乱れがあることや、路面の轍に足を取られやすく、17インチほどのどっしり感はなかった。それにタイヤサイズは17インチが215/45R17、15インチが195/65R15と大きくサイズが異なる割に、NVHの処理や乗り心地に想像したよりも大きな差がなく、これならどっしり感があってシャープな切れ味のハンドリングを持つ17インチが絶対お薦めで、15インチに見るべき美点がなかったのは少々残念である。

加速力もだいぶ向上した。以前だとパーシャルから踏み込んでしっかりとした加速を得るためにはかなり踏み込む必要があり、それはひいてはエンジンの唸り音を伴ったものだが、今回はそれがない。それに初期加速もパワーモードに入れておくとかなり鋭い。エコはさすがにかったるさを覚えるが、高速をのんびり走る時などはこれでも十分。何より不必要な騒音が無い点が大いに気に入った。

以前だと急なステアリングへの入力など御法度。そもそも、コーナーを飛ばして走ろうな努々思わなかったのものだが、今回のモデルだとついステアリングを握る手の方が勝手に素早い動きを誘導して、それにクルマがちゃんとついて来るという印象。今回の試乗ポイントの説明という書き物にも、これまでのプリウスの強みと弱みという項目に、弱みとして走りの楽しさがないことや乗り心地の悪さ、内装のプアさなどが列記されていたが、洗面所を彷彿させるセンターコンソールはともかくとして、質感的にもクォリティーアップされた印象が強かった。ボディは大型化しているが、旧型と並ぶとかなり小さく見える。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★
インテリア居住性 ★★★★
パワーソース ★★★★
フットワーク ★★★★
おすすめ度 ★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来38年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。
《中村 孝仁》

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