JAXA、ソニックブーム波形の計測に成功…「静かな超音速旅客機」に向けて

航空 テクノロジー

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、第48回航空科学技術委員会で「D-SEND#2試験結果報告」を報告した。

試験は、「静かな超音速旅客機」の実現に必要なキーとなる技術である低ソニックブーム設計概念を用いて設計された機体による飛行試験を通して、その効果を実証するもの。

試験手法は、ブーム計測システム(BMS)上空を超音速で飛行し、ソニックブームを発生させ、高度方向に複数設置されたマイクロホンで計測する。計測したソニックブームが設計通り低減されていることを確認するもので、2015年7月24日、スウェーデン宇宙公社(SSC)エスレンジ宇宙センター内で実施した。

試験の結果、BMS上空を計測要求の範囲内で飛行することに成功し、飛行異常対策の改修効果を確認した。3カ所のBMS設置場所と各サイトの高度方向4カ所を含めた全てのマイクロホンが正常に作動し、合計196個のソニックブーム波形の計測に成功した。

また、計測ブーム波形の振幅は推算ブーム波形(低ブーム型)とほぼ一致しており、明らかにN型のブーム波形と異なり、その振幅の低減効果を確認した。

ソニックブーム伝播過程への大乱気流の影響を解析したところ、ソニックブーム波形は、波線の通過場所と時間に応じてランダム性を持つ大気乱流の影響を受けるため、一般に圧力上昇がなまる、圧力上昇がスパイク(先鋭)化、変化無しの3種類に変形することが確率的に推測される。

解析波形に、計測ブーム波形の立ち上がり時間が長く、コブがなまっている特徴と、同傾向の波形が得られたことから、計測ブーム波形は大気乱流の影響を受けて変形したもので、大気乱流の影響を受けていない場合、設計通りの波形が計測されていたと推測でき、D-SEND#2試験において「低ソニックブーム設計概念」を実証したとしている。

今回の飛行試験で「低ソニックブーム設計概念」の実証に世界で初めて成功した。この過程で得た「低ソニックブーム波形に対する大気乱流の影響に関する詳細な解析結果」も世界初の知見となる。

今後については、超音速タスクグループ(SSTG)で提示した飛行試験結果と議論を踏まえ、2016年2月に開催されるICAOのCAEP10総会で報告される内容に関して調整するとともに、今後のソニックブーム基準策定に向けた技術的な議論を進め、検討を加速させる。

JAXAとしては、D-SENDプロジェクト終了に向けた審査を年度内に実施する予定。

今後、更なる技術課題への挑戦に向けた新たな研究開発計画を立案し、そこにこれまでの超音速機技術に関する研究成果を継承させるとともに、コンコルド以来止まっている超音速旅客機の運航再開に向けた機体開発に結びつける活動を産業界と積極的に推進していく方針。
《レスポンス編集部》

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