鉄道博物館やドクターイエローなどにクリスマス飾りが施され、師走の街に彩を添えているが、12月24日のクリスマスイブ、東京行き特急「わかしお」24号に乗ると、イブとは縁遠い帰社組みと帰宅客の姿があった。510円の自由席特急料金を払い「座って帰りたい」という人たちだ。
外房線・京葉線の特急「わかしお」24号(74M)は、千葉の勝浦駅を20時07分に出発し、東京に21時39分に着く、上り最終の特急列車。E257系10両編成で、東京寄りから1号車、6・7号車が指定席、そのほかが自由席。
この日、海浜幕張駅から乗車してみると、指定席車両に乗客の姿はなく、自由席車両にそれぞれ7~8人前後の客の姿があった。同駅から乗ったスーツ姿の客は、「幕張新都心にある得意先に向かい、いったん帰社する。ほんとうは直接自宅に帰りたいんだけど」ともらした。
列車が海浜幕張駅を発つと、すぐに千葉運輸区乗務員が車内改札を始め、特急券の確認・発券を行う。先ほどのスーツの男性は、車内で510円の自由席特急料金(B特急料金、営業キロ50kmまで)を支払うと、リクライニングシートを倒し、すぐに眠りについた。
21時39分、列車が地下深い京葉線の東京駅ホームに止まり、60人ほどのビジネス客が降りると、すぐに車内整備作業が始まる。この列車は、22時発の最終下り特急「わかしお」23号となり、再び勝浦へと向かう。
この23号(73M)は、指定席車両はなく全車自由席。「出発時刻になるとほぼ満席になる」と駅員はいう。ホームには家路へと急ぐビジネス客で混み合い、E257系10両の座席が次々と埋まっていく。車内はあっという間に満席となり、缶ビールや缶酎ハイを開ける音、パソコンを叩く音などが聞こえてくる。
「わかしお」23号のヘッドランプが灯るころ、クリスマスイブを東京ディズニーランド、東京ディズニーシーなどで過ごし、夕方から夜にかけて都内を周遊してホテルへ戻るという女子高生たちと、駅員の間でこんなやりとりも聞こえた。
女子A「この電車って、舞浜に止まりますか?」
駅員「いえ、止まりませんので、4番線から出る次の快速へ」
女子B「ってか見てわかるっしょ。この電車おじさんばっかじゃん」