関西国際空港(KIX)には、ラウンジやシャワールーム、グルメ、買い物と、“暇つぶし施設”が充実しているが、電車で10分ほどの“陸側の下町”でローカルな雰囲気にひたる人もいる。紀州街道の宿場町・港町として栄えた泉佐野の街だ。
12月中旬、関空を深夜に発つ便のチェックインまで3時間あったので、南海電車に乗って8分、泉佐野駅で降りてみた(写真24枚)。駅の海側、若宮町や栄町と呼ばれるエリアには、大衆酒場、ホルモン、パブ、スナック、サロン、カフェ、酒処、季節料理、割烹、寿司、お好み焼きといった文字が記された赤提灯やネオンが灯る。
「昔っからやってるお好み焼き屋。このへんの人たちもよう行くわ」と促されてその店の暖簾をくぐる。どて焼(80円)を1本、ぶた玉(390円)、瓶ビールを頼む。あとから入ってきた常連らしき家族は、「とりあえずどて焼、20本」と女将に注文していた。ひとりよそ者のこちらはお好み焼きを厨房で焼いてもらい、鉄板の上に運んでもらうことにした。
地元に親しまれる老舗がにぎわえば、新参のカフェも注目されている。2軒目に入ったカフェには、鉄道模型「Nゲージ」のジオラマと合体したカウンター席があった。JR西日本や南海のエリアなのに、なぜかJR東日本の新幹線たちがぐるぐると走るのを見ながら、もう一杯。この夜、お好み焼き、Nゲージレイアウトを楽しんで関空へと戻るコースは、2軒、3時間、4000円前後。安くてうまい店が軒を連ねる泉佐野だが、関空~泉佐野間の電車賃が高めなところが残念。
酒好きが楽しめるこの街。日中であれば、歴史や散歩も体感できる。駅から海へと向かう途中には、港町としてにぎわったころを色濃く残す町屋や、昭和初期から続く銭湯「大将軍湯」に出会える。チャリ好きはレンタサイクル「さのちゃり」で街をポタリングするのも楽しいだろう。
泉佐野市観光情報センターで散歩ルートを決めたり、地元で人気の店を聞いてもいい。観光ボランティアのリアルな街の話を聞きながら歩いてみると「意外な発見」も見つかるかも。