日本気象協会など、モーダルシフト推進へ…長期気象予測と最適航路選定システム活用

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3社が取り組むモーダルシフトのイメージ
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ネスレ日本と川崎近海汽船、日本気象協会の3社は、長期気象予測と最適航路選定システムを活用したモーダルシフトを推進することで合意した。

今回の取り組みは経済産業省の2015年度の「次世代物流システム構築事業費補助金」の採択事業の一環で実施する。

国内人口の高齢化に伴って、トラックドライバーの平均年齢の上昇が進むと同時に、若年層でのドライバー希望者が減少、将来的なドライバー不足が懸念されている。

モーダルシフトには、二酸化炭素排出量の低減による環境保護の取り組みに加え、ドライバー不足の状況下で少人数による大量輸送を実現し、産業インフラの維持を実現できる取り組みとして、産業界から期待されている。

ネスレ日本では、バリューチェーン全体を通して環境への配慮に取り組んでいる。物流分野で、環境負荷の少ないモーダルシフトを推進しており、2000年代当初から、トラック輸送から内航船輸送への切り替えに取り組んできた。

モーダルシフトには、綿密な輸送計画と輸送量の決定を早期に実施する必要がある。ネスレ日本の製造するペットボトルコーヒーは、出荷量が気温変動に大きく影響されるため、輸送量の決定には気象情報を利用する必要がある。

日本気象協会では「2014年度次世代物流システム構築事業」で、気象庁の予測に加え、欧州・中期予報センターの予測を利用して気象予測精度を向上させることに成功、2週間先の気温予測情報を開発した。これにより、気象予測期間を長期にすることができ、モーダルシフト推進も図れる。

川崎近海汽船では、経済運航への取り組みとして、日本気象協会の提供する内航船向け最適航海計画支援システム(ECoRO)を利用している。このシステムは、高精度の気象・海象予測から最適航路を選定することで、定時運航を保ちながら、二酸化炭素排出量、燃料消費量を削減するもの。

今回、3社は気象予報を活用した海運により、日本のモーダルシフトを推進することで合意した。

ネスレ日本では、生産拠点から距離のある北海道・九州方面への出荷に内航船の利用を推進している。内航海運は、荷物1つ当たりの二酸化炭素排出量がトラックの6分の1程度と小さく、環境負荷低減効果がある。

今回の3社での取り組みを推進することで、二酸化炭素排出量低減に加え、台風などによる内航船の遅延・欠航の予測を採用することで北海道・九州方面への内航船輸送拡大を見込む。最適な社内物流の実現と、製造計画や製品補充計画への気象予測の活用により、食品鮮度の向上や食品ロスの削減などの取り組みにもつなげていく。

川崎近海汽船は、今回の取り組みを進めることで、気象・海象予測を活用した資源の有効活用・環境保全・省エネルギー化・幹線輸送のモーダルシフトというひとつの事業モデルを確立、幅広い地域・産業にも拡大を図る。今後は「北関東~北海道」間で成功している20時間航海のサービスを「清水~大分」間でも展開することが決定しており、サービス品質の向上を図る。

今後、3社協力のもと、モーダルシフトや最適航路選定を推進することで、配送の効率化、省エネルギー化を促進していく。

《レスポンス編集部》

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