「やっと豊田社長が目ざすトヨタ車づくりが動き出した!」これがボクの新型『プリウス(プロトタイプ)』のハンドルを握ってのファースト・インプレッションだ。
豊田社長は社長就任以来、常々、クルマで走る楽しさ、悦びを訴え続けてきた。自らもモータースポーツに積極的に参加するなど、自分の言葉を実践してきた。
しかし、社長の言葉どおりにはなかなか開発部隊は進んではくれなかった。トヨタはずっと昔からCE(チーフエンジニア)の権限が強く、独自の考えで、新車を開発、そこには横の連携はなかった。
しかし、今から7年前に新しい計画がスタートしていた。それはシャーシやボディ骨格の共有化だった。共有化すれば予算もかけられる。こうしてトヨタの新しいクルマ造りが動き出した。新型車の開発は時間がかかる。ようやく、今回のプリウスでその成果を体感できることになったのだ。
結果は、エクセレント!
走って楽しいクルマに成長していた。現行プリウスの足回りの重さやハンドリングの鈍重さはまったくない。コーナーでは若干のロールはあるものの回頭性がよかった。試乗会場に現行プリウスも比較車両としてあったので、同じコースを走ってみたが、コーナーではタイヤが無理矢理、こじって曲がっていく感じが伝わってきた。このハンドリングの飛躍的な向上だけでも新型プリウスを購入する価値はあると思う。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
石川真禧照│自動車生活探検家
日刊自動車新聞社を経て1971年からフリーの自動車評論家。1982年、I.W.オフィースを設立、自動車を中心としたメディア活動を開始する。自動車を生活の道具として捉える評論を得意とし、「自動車生活探検家」を名乗る。