次期『プリウス』はTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)と呼ぶ開発手法をベースに、走りを大きく進化させてきた。これまでのモデルに比べ、格段にスポーティな走りと操縦安定性を持つと同時に、乗り心地もグンと良くなっている。
新しいプリウスにもECO、ノーマル、パワーの3モードが設けられているが、今回のECOモードは従来のノーマルモードに相当するという。走りが全体にややスポーティな方向に振られている。
パワーモードを選んで走ったときには特に、アクセルワークに対して俊敏なレスポンスが感じられる。従来のモデルにあったいわゆる“ラバーバンドフィール”は感じられなくなった。
逆にEVモードでの走りも領域がやや拡大され、高速クルージング中でもアクセルを抜くとエンジンが停止して燃費を向上させるようになっている。
TNGAにより基本プラットホームが刷新されたことで、操縦安定性も大きく向上した。富士スピードウェイのショートサーキットで試乗したが、従来のモデルと乗り比べるとクルマの挙動に大きな違いがあり、横滑り防止装置の制御の入り方も全く違うレベルにあった。
ボディ剛性の向上は乗り心地にも貢献し、荒れた路面からの入力がうまくいなされて快適な乗り心地を確保していた。
燃費も40.0km/リットルに達するまでに向上し、最新の安全装備を備えるなど、いろいろな意味で魅力アップした次期プリウスは、ベースグレードで比較すると価格が20万円ほど高くなる。魅力向上に相応した価格設定ということになるが、新型プリウスは価格アップを含めても十分に魅力的なクルマだと思う。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★
松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。