【新聞ウォッチ】欠陥エアバッグのタカタ存亡の危機、後ろ盾のホンダが“決別宣言”

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タカタのエアバッグリコール対象となっているホンダ アコード(資料画像)
  • タカタのエアバッグリコール対象となっているホンダ アコード(資料画像)
  • タカタ(WEBサイト)

気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。

2015年11月5日付

●ドローン宅配3年内に、新産業育成へ規制緩和、政府方針(読売・1面)

●VW、CO2でも不正、80万台ガソリン車含む可能性(読売・10面)

●郵政3社時価総額16兆円(朝日・1面)

●曙ブレーキ工業、不適切会計、決算発表延期、2.1億円の計上時期操作(朝日・9面)

●減速の中国市場、ホンダ・日産快走(朝日・10面)

●タカタ製使用停止、「試験データ操作」引き金、エアバッグ、ホンダ、見限る(毎日・1面)

●自動運転車が自損事故、公道走行実験運転席にレポーター(毎日・27面)

●東芝、6年ぶり営業赤字、900億円家電・POS事業不振、4~9月(日経・1面)

●現代自、高級車ブランド「ジェネシス」SUVなど6車種で(日経・11面)

●ホンダ純利益14%増、4~9月北米・アジアが好調(日経・13面)

●トヨタ新型プリウス、現行より10~20万円高く(日経・13面)

●ルノー、臨時取締役会へ、あすにも、日産との資本関係協議(日経・13面)

●富士重、米生産増強前倒し、来夏に更新開始 能力年40万台へ(日経・14面)

●スズキ、最高益1250億円、今期最終29%増、インドで新車販売好調(日経・17面)

ひとくちコメント

身に降りかかる火の粉の量が余りにも多過ぎて「共倒れ」を防ぐための“決別宣言”とも受け取れる。自動車部品大手のタカタの欠陥エアバッグ問題をめぐり、重要な顧客であるホンダが、今後発売する新モデル車にはタカタ製エアバッグ部品を使用しないと発表した。目下、生産中の車種についても、他社製に順次切り替えていく方針という。

また、米運輸省はタカタに過去最高額となる最大2億ドル(約240億円)の民事制裁金を科すほか、事故原因の可能性が指摘される硝酸アンモニウムを使ったエアバッグの生産・販売を段階的に止めるよう命じた。

タカタの欠陥エアバッグ問題をめぐる報道が過熱したのは、原因不明の異常破裂が相次ぎ、各社が調査リコールの実施に乗り出した昨年夏以降である。だが、それから1年以上が経過しても原因究明は藪の中だった。

そして、後ろ盾とみられていたホンダが突如「使用中止」の声明を発表したことで、事態は一変した。

きょうの各紙も「タカタ窮地日米から不信」(朝日)、「『タカタ離れ』加速懸念」(読売)などと、タカタ問題を久しぶりに大きく取り上げているが、中でも、毎日は1面トップ記事で報じている。

それによると、ホンダが、タカタを「見限る」理由について、「提供を受けたエアバッグ起動装置(インフレーター)の試験データを調べたところ『原因究明を特定の方向に誘導しようとするデータ操作』(ホンダ幹部)が見つかったといい、ホンダはそれを『タカタによる虚偽報告』と判断した」と伝えている。提供されたのは数百万ページに及ぶ内部資料で、米運輸省も提出を受けていたという。

また、日経が「三菱自動車も採用中止の検討を始めた」と報じているように、タカタは主要取引先を失ったことにより、今後も信頼を得る経営を続けることは困難である。

ホンダはタカタと距離を置くことで「命拾い」する一方で、タカタは、80余年も続いてきた親子3代の同族経営が行き詰まる最悪のシナリオもいよいよ現実味を帯びてきたと言えるだろう。

《福田俊之》

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