【ホンダ シビック タイプR 試乗】歴代最高の「R」、圧倒的な速さと官能的な演出…松田秀士

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ホンダ シビック タイプR
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初めてターボエンジンを搭載した『タイプR』。レカロではない内製のセミバケットシートにすっぽり包み込まれ、ドラポジは小柄な私でもピッタリ決まる。特に6速MTのシフトノブの位置・角度がまさにストライク。どうして今までこうならなかったの? と問いたいぐらい。

前方、側方を含めて視界も良く、クラッチもちょうどよい重さの軽めタイプでミートも神経質ではない。つまり、通勤にも使えそうだ。そのニューターボエンジンも極低回転域からストレスなく発進できるし、今風のスポーツエンジンらしく市街地での取り回しもラクチンそうだ。

しかし、3000rpmを超えたあたりからパワーフィールは豹変する。この回転域から音質が変化しシートに体が押し付けられる加速Gを感じた途端フロントタイヤがホイールスピン! もちろん1速ギヤだがドライ路面にコンチネンタルの専用開発されたスポーツコンタクト6・19インチタイヤ(235/35ZR19)が簡単に音を上げたのだ。

ダッシュボード最上段のレブインジケーターのLEDが両端からセンターに集まり赤色に変化。このときエンジン回転数はレブリミットの7000rpm。あっという間にエンジンリミッターが作動しアップシフトを迫られる。レーシングドライバーの私の脳内活性ホルモンをフル分泌させるようなレーシーなエンジン特性とインパネの演出。興奮気味に2速、3速、4速とシフトアップすると加速が止まった。ステアリングに隠れてちょっと見にくい速度計を覗くと188km/h。スピードリミッターだ。いや、しかしここまでがあっという間! 速い!

さらに、ダッシュボード右側のRボタンを押すことで、+Rが表示されインパネ表示が赤色に変化。電動パワステ、アクセル開度そして減衰力可変ダンパーがスポーツモードに変化する。ステアリング感度はよりクイックになり、さらに排気音がレーシーな誘惑を誘う。

ここは鷹栖のテストコースなので、しっかり限界までアクセルを踏んでみよう。意図的にオーバースピードでコーナーに飛び込む。リヤのスタビリティーがとても高く感じたので、きっとアンダーステアーになるはず。ヒール&トゥーで3速ギヤにダウンシフト。パドルなんかよりやっぱりコレ! MTでなきゃこのスカッとした感覚は味わえない。加えてこの6速MT、ショートシフトなのにどこにギヤのゲートがあるのかをすぐに感じ取ることができる。

軽いブレーキングでオーバースピードの状態からステアリングを切り込む。ノーズがスパッと向きを変えコーナーアプローチ。予想どうりアンダーステアを出し始めた、しかし思ったよりどんどんインに切れ込んでいく。アジャイルハンドリングアシストだ。イン側のタイヤにブレーキをかけて、高いスピードでもコーナリングできるようにする電子デバイス。さらにアクセルを踏み込むとLSDが作動してフロントのトラクションを発生。ステアリングを切り込んだ方向に引っ張ってゆく感覚でコーナリングする。アジャイルハンドリングアシストと駆動方向へのLSD。これに減衰力可変ダンパーとコンチネンタル19インチタイヤ。そこから生まれるコーナリングスピードは『NSX タイプR』よりも速い。インジケーターのGセンサーは1.2Gを記録したほどだ。

コーナリングを問わず+Rポジションでのサスペンションは硬い。凸凹路面ではそのアンギュレーションをそのまま拾う。しかし、一つのギャップを乗り越えても1回の上下動で収まる。ただし連続した凸凹では、それぞれ1回で収まるので内臓がついてゆかない。ものすごいダンピング性能だが人間レベルを超えている。+RモードをOFFにすれば、実にお利口なサスペンションに戻ってくれる。それでも十分にハードなものだが、それはノーマルシビックに比べて177%も硬いスプリングレートのせいだ。

実は、ドライとフルウェットの両路面で試乗することができたのだが、専用開発のスポーツコンタクト6タイヤの性能に驚かされた。どんなにドライ路面で虐めてもタイヤの顔がとてもキレイ。そしてウェット性能も、ドライ時と同じギヤでコーナリングできるのだ。コンチネンタルはレース活動を行わないタイヤメーカーだが、その技術力にはいつも驚かされる。

今度のタイプRは歴代中最高の「R」と呼べるものだった。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★


松田秀士|レーシングドライバー/モータージャーナリスト/僧侶
成仏する直前まで元気でクルマを運転できる自分でいたい。「お浄土までぶっ飛ばせ!」をモットーに、スローエイジングという独自の健康法を実践しスーパーGT最年長55歳の現役レーサー。これまでにINDY500に4度出場し、ルマンを含む世界4大24時間レース全てに出場経験を持つ。メカニズムにも強く、レースカーのセットアップや一般車の解析などを得意とする。専門誌等への寄稿文は分かりやすさと臨場感を伝えることを心がけている。
《松田秀士》

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