【ダイハツ キャスト 試乗】見栄え&デザインと乗り心地で「スタイル」しのぐ「アクティバ」…青山尚暉

試乗記 国産車

ダイハツ・キャスト アクティバGターボ SAII
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ダイハツ『キャスト』のメイン車種と言えるのが、『ハスラー』を意識したと思えるSUVテイストをまとった「アクティバ」だ。 試乗したのは、「アクティバ Gターボ SAII」

基準車の「スタイル」とは違い、SUVらしいエクステリアを与えると同時に、車高を30mmアップ。最低地上高は180mmとなり、全高はスタイルの1600mmに対してDプラットフォームを共用するハイトワゴンの『ムーブ』と同じ1630mmとなる。

アクティバのようなモデルをラインアップする目的は、雪国でかつての『テリオスキッド』のような、最低地上高に余裕があるモデルが望まれているからだ。

インテリアも微妙に違う。ブラック&グレーを基本としたカラーリングもさることながら、なんと助手席前のインパネデザインを専用化。スタイルはBOXタイプの2段グローブボックスなのに、アクティバはオープンタイプのトレーをグローブボックス上にあしらっている。インパネ自体はほぼ同じにして(コスト低減)、アクティバならではの個性をそこに出しているのだ。

また、スタイル、アクティバともに4WDモデルをラインアップするが、アクティバの4WDのみ、ダウンヒルアシストコントロール、グリップサポート制御機能を追加。滑りやすい路面や下り坂で威力を発揮する4WDパフォーマンスである。

そんなアクティバの最上級グレードとなる、27.0km/リットルの燃費性能を誇る GターボSAIIを走らせれば、まずはスタイルより車高、前席ヒップポイントを30mm高めたことによる見晴らし感覚ある視界の良さが印象的だ。例えば前にトヨタ『ヴィッツ』などのコンパクトカーがいたとすれば上から目線。軽自動車とは思えない車格感、サイズ感を実感できるのだ。

発進時はスッと軽やかかつトルキーに前に出る。そのスムーズさは下手なコンパクトカーより上である。CVTはムーブ用から進化した最新制御のもので、アクセルの踏み込みに対して実にリニアに加速する。CVTではなかなか難しいエンジンとアクセル/右足が一体になったイメージだ。

アクセルオフ時にエンジン回転が落ち切らず、押し出されてしまうようなクセもほぼ解消されているのがうれしい。

パワステは軽く扱いやすく、ブレーキのタッチはじんわりしていて秀逸。コントロール性も高いから、停止時も穏やかに止まることができる。

もちろん、64psの動力性能はムーブ+10kgに収めた軽量化技術(ボディの樹脂パネル多用)によっても十二分。どころか、質の高い走り、加速力が味わえる。乗り心地はスタイルの55に対して60タイヤを履き、やや乗り心地重視のサスペンションセッティングが可能になったことで、意外にもセダンタイプのスタイルよりマイルド。段差やマンホール越えでも角の取れたタッチを示し、フラット感はより強く、快適である。

本革巻きステアリング右側のパワースイッチを押せば、加速はさらに鋭くなって、回転数を高めた制御で一段と活発な走りを披露してくれる。もっとも日常域では、アクセルの踏み込みに対して一瞬のタメがあってから穏やかに加速するノーマルモードのほうが走りやすいのも事実。特に同乗者、子供、犬を乗せているときはノーマルモードがいい。

静粛性もNAエンジンより一枚も二枚も上手である。基本的には吸音、主音材をおごり、室内に侵入する音の通路となる小穴を徹底的にふさぐ努力のたまものだが、ターボのゆとりでエンジン回転数を低く保ったまま走れるのが静かさの決め手。

スタイルより着座位置が30mm高いとはいっても、走行時の腰高感などないに等しい。足回りはしっかりしなやかで、カーブや山道でもステアリングが利き、リヤタイヤのふんばりも文句なく、車体が外側に膨らみにくく、飛ばしても安心安全。前後左右の姿勢変化も最小限と言っていい。乗り心地と操縦性のバランスの良さでは、同じ165、15インチサイズでも55タイヤを履くスタイルより明らかに上である。

ちょっと気になったのは、段差越えで足回りからボコボコ音が聞こえやすくなっていることと(ボディ下部の空間がスタイルより30mm高く増して、スピーカーの容量が大きくなったのと同じ増幅効果か?)、シートの黒いファブリックにホコリが付きやすく、目立ちやすいこと。

そうそう、後席は十分に広い。ムーブより前後乗員間距離が30mm減っているそうだが、身長172cmのボクのやや前よりのドライビングポジションをとった背後で頭上に約120mm、ひざ回りに約300mmもあるのだから、下手なコンパクトカー、セダンより広い。足元もフラットで、前席の下のつま先も余裕で入るから、着座姿勢は楽々。

後席シートのかけ心地も軽自動車らしからぬもの。その理由は座面を前上がりにすることで、太もも裏が座面に密着しやすく、いわゆる体育座りになりにくいからだ。

キャストには内外装のデザイン、質感にこだわったスタイルもあるけれど、実は同価格という事実を考えると、はやりのSUVテイストによる迫力、存在感で優位に立ち、4WDであればダウンヒルアシストコントロール、グリップサポート制御機能が加わり、さらに60タイヤによる乗り心地で上回るアクティバを薦めたくなるというものだ。

お薦めはデザインルーフトップ=Dラッピング装着車。3層の成形フィルムで、価格アップ4万円程度だが、ドアミラーもコーディネイトされ、デザイン的にがぜん、オシャレになると同時に、表面がフッ素加工されているため、手の届きにくいルーフ部分がコーティングやワックス掛け不要になる便利さもあるからだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車専門誌の編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に寄稿。自作測定器による1車30項目以上におよぶパッケージデータは膨大。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がけ、犬との自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーの活動も行なっている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
《青山尚暉》

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