気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。2015年9月29日付 ●東京五輪で野球・ソフト組織委追加5競技提案へ(読売・1面)●排ガス不正VW前トップ捜査、独検察詐欺容疑、対象車はリコール(読売・2面)●ベンツが新ディーゼル、都内で発表(読売・9面)●不正ソフト日本も規制、VW排ガス問題、導入前倒しへ(朝日・6面)●アウディ210万台に搭載(毎日・2面)●米自動車賃上げへ、UAW・クライスラー大筋合意今秋から、10年ぶり(日経・6面)●VW,日本販売にも影、前週末来店客半減の販社も(日経・11面)●高速道民営化10年、防災含め進む地域連携(日経・25面)ひとくちコメント現地メディアの報道で次々と新たなニュースが飛び込んでくるドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)のディーゼル車の排ガス規制不正問題。きょうの各紙は、ドイツ検察当局がすでに引責辞任したヴィンターコルン前CEOを詐欺容疑で捜査を開始したと取り上げている。ヴィンターコルン前CEOは当初、「不正には関知していなかった」としていたが、ドイツ紙の中には「2011年には技術者が違法なソフトがディーゼルエンジンに搭載されていることを指摘していた」と伝えている。また、VW傘下のアウディは、不正の可能性がある問題のディーゼルエンジンを搭載した車が全世界で8車種、計210万台に上ることを明らかにした。内訳はお膝元のドイツで約57万7000台、ドイツを除く西欧で約84万2000台と欧州が中心で、日本ではアウディとして対象となる車を販売していないという。さらに、不正ソフトを搭載したディーゼル車をリコールする方針を固めているが、ドイツ紙によると、ソフトウェアの更新だけでなく、一部部品交換など大規模修理が必要な場合もあり、対象車数は世界で約1100万台に及ぶそうだ。VWは対応費用として65億ユーロ(約8700億円)を今年7~9月期に計上すると発表したが、問題のディーゼルエンジンを搭載した車両の大規模リコールに応じることで、追加の費用計上に追い込まれる公算が大きいとみられ、毎日は「VWの経営はさらなる窮地に追い込まれそうだ」と報じている。国内に目を向けると、きょうの産経などは「国交省がディーゼル乗用車の排ガスの規制監視を強化する方針である」と伝えている。日経は、VWの不正ソフト搭載のディーセル車を国内では販売していないものの「ブランドイメージの悪化で前週末の来店客が半減している」と影響の広がりを懸念する声が増えていることを伝えている。VWの経営に大きな打撃を与えているのは必至だが、VWに限らず、欠陥エアバッグのタカタなど最近は自動車の大規模リコールが相次いでおり、自動車づくりそのものの信頼を失うことで「クルマ離れ」が広がる恐れもある。常に「環境」と「安全」の問題が付きまとう自動車メーカーにとっても他人事ではすまされない。また、弱みに付け込んで安易に特定のメーカーを称賛する歯の浮くような報道はユーザーを惑わすだけで得策ではなく極力避けるべきだろう。