【ロールスロイス ドーン 発表】独フランクショーの裏側で、英国にも「夜明け」

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英国グッドウッドのロールス・ロイス本社でプレミアとなった新型「ドーン」
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ロールス・ロイスの新しいドロップヘッドクーペ『ドーン』が9月8日、ウェブ上で先行公開されたのち、15日のフランクフルト・ショーのプレスデーにてワールドプレミアを果たした。しかし、実はフランクフルト・ショーでの発表と同日・同時刻に、英国グッドウッドのロールス・ロイス本社でも国内プレミア発表が敢行されていた。

今回、筆者はグッドウッド本社での英本国内プレミアの方に列席する栄誉を得たのだが、それまでドーンの姿を隠していたシルクのカーテンが開いて、初めて全容が明らかになった瞬間、その美しさに息を呑むことになった。

基本的なメカニズムは、ベースでもあるロールス・ロイス『レイス』と共用するものの、フロントグリルを45mm後退させるなど、ボディパネルの80%を新たにデザインすることで、スタイリングはエレガントなレイスよりもスポーツカー的資質を前面に押し出したもの。また英国製「ドロップヘッドクーペ(DHC)」の伝統に従ってファブリック製とされたソフトトップは、巨大なサイズにもかかわらず22秒で開閉可能。また走行中でも50km/hまでなら開閉を行うことができるという。

そして同じロールス・ロイスでも、『ファントム』のドロップヘッドクーペが、文字どおりの伝統的「ドロップヘッドクーペ」。特にトップを上げた際には荘重なスタイルとなるのに対して、ドーンは対候性や快適性も強く意識した6層構造のトップを与えられつつも、そのプロポーションはオープン/クローズ時ともに、こちらも英国式表記で呼ぶなら「ロードスター」に近い、実にセクシーなアピアランスを得たのだ。

パワーユニットはレイスと同じくV型12気筒6.6リットルツインターボを搭載するが、レイスの630psスペックではなく、『ゴースト』と同じ570psに設定。GPSとの連動によって「シームレスなドライビングエクスペリエンスを提供する」と標榜するZF社製8速ATを組み合わせ、よりスムーズかつエレガントな走りを目指したという。

しかしドーンにおいて何より革新的と感じさせてくれたのは、このクルマに賭けるロールス・ロイス社の意気込みである。

ウェブ発表の動画でも、あるいはグッドウッドの発表会場でも「センシュアル(官能的)」という、従来のロールス・ロイスではあまり聞かれなかった単語がしばしば登場した。また、オマージュとして1940-50年代の「シルヴァードーンDHC」を掲げつつも、継承したのはあくまで精神的なもののみ。テクノロジーはもちろんデザインに至るまで、当代最新のロールス・ロイスであることを明言している。

英国では「New Dawn」、つまり「新しい夜明け」という慣用句が一般化しているというが、新生ドーンこそまさしくロールス・ロイスの新しい夜明けなのである。

《武田 公実》

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