『レネゲード』はジープのラインアップに加えられたブランニューのモデル。コンパスよりもコンパクトで、ジープのエントリーモデルとなる。
試乗したリミテッドは1.4リットル4気筒エンジンを搭載し6速のデュアルクラッチ式AT が組み合わされるFFモデル。前後ともにストラット式の4輪独立懸架を採用する。4WDモデルもストラット式だが、リヤサスのロアアームは4WDが丸棒材なのに対し、FFはプレス材となっていた。
1.4リットルエンジンはターボによって過給され140馬力の出力を発生。デュアルクラッチATのシームレスな変速とソリッドな伝達効率により走りは意外なほどキリっと引き締まっている。アクセルを踏み込んだときのピックアップもよく、スッと前に出ていく感覚が気持ちいい。
FFモデルの車高は、4WDモデルに対して30mm低く設定されていて、タイヤもミシュランのプライマシー3を履く。ハンドリングは軽やかで、ワインディングをスイスイと走っていく。高速道路の車線変更も落ち着いた動きで、SUVとしては十分に安定感が高い。リミテッドにはレーンセンスと呼ばれる車線逸脱警告が装備されるが、この効きはかなりきつめで、車線をずれると無理矢理戻されるような動きとなる。
ジープというブランドだと4WDの権化のような印象を受けるかもしれないが、このレネゲード リミテッドに関してはもっとゆるくジープを楽しめるクルマに仕上がっている。デザインモチーフとなったウィリスMBが生まれた1940年代とは道路の質もずいぶん変わった。現代の多くの道路では、この設定は大正解だと言える。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★
諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。