『スクランブラー』はドゥカティの新たな試みを体現したモデルだ。伝統的なスタイルを取り入れつつ、現代的な解釈によってリブートされた「ポスト・ヘリテージモデル」と呼ばれている。スクランブラーには4つの仕様があり、その中で「クラシック」は最もトラディショナルな位置づけ。アルミ製フェンダーやスポークホイール、ヴィンテージシートなどが年代感を醸し出す一方で、LEDリングライトに代表されるモダンな要素も随所に織り込まれている。そんなセンスの良さとクオリティの高さがドゥカティらしい。今や珍しくなった空冷2バルブLツインは『モンスター796』がベース。中速トルクに厚く瞬発力のあるエンジンと400cc並みの軽量な車体のおかげでよく走る。Lツイン独特の弾ける鼓動感を感じつつ、ワインディングも気持ちのいいペースで駆け抜けていく。ファッションバイクのように見えて、実は思いのほかスポーティなのだ。ハンドリングは軽快かつ素直で扱いやすく、モンスターシリーズと比べても穏やかなフィーリング。特に荒れたアスファルト路面は得意で、優れたトラクションとストローク感のある前後サスペンション、専用開発のブロックタイヤが路面を選ばない安心感を与えてくれる。ブレーキタッチも節度があって良く効くし、ABS付きなのでいざというときにも安心だ。アップライトなポジションは楽で視界もいいし、スリムで足着きの良い車体は気軽に乗り回すにはもってこい。そもそも“スクランブラ―”とは、まだ本格的なオフロードモデルが無かった時代、ロードモデルに荒地を走るための改造を施したのが始まり。ならば、と試しに砂利道も走ってみたが、これが楽しい。軽くリヤを流しつつカウンターを当ててみたり、とちょっとしたダート遊びも簡単にできてしまう。やはり血筋なのだと実感。肩肘張らずに、街乗りやショートツーリングをお洒落に自由に楽しみたい派、ファッションバイクにも本格的な走りのグレードを求める人には、ぜひおすすめしたいドゥカティだ。■5つ星評価パワーソース:★★★フットワーク:★★★★★快適度:★★★★タンデム:★★★★オススメ度:★★★★★佐川健太郎|モーターサイクルジャーナリスト早稲田大学教育学部卒業後、出版・販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。(株)モト・マニアックス代表。バイク動画ジャーナル『MOTOCOM』編集長。日本交通心理学会員。MFJ公認インストラクター。
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