この夏、図鑑でしか見られない珍しい船や、客船、帆船などが各地で一般公開されている。今年は1995年に海の日(7月20日)が制定され、20回目にあたるがどうやらその記念というだけはないようだ。
日本の船舶会社で組織される日本船主協会の常務理事はいう。
「国際海事機関(IMO)の『世界海の日』というのがあって、加盟国持ち回りで開催されているパラレルイベントの開催国が、今年は日本なのです。そこで国土交通省が中心となり、民間委員として船主協会が入って、海運、船、船員のことを知ってもらうイベントを開催しています」
これが「海でつながるプロジェクト」だ。同協会のホームページには、多目的コンテナ船、石炭運搬船、自動車専用船、帆船など船舶や、沿岸にある石油精製所などの見学募集が目白押しだ(※すでに募集を打ち切っているものもある)。
しかし、この一般公開は簡単ではない。外航船が寄港する場所は、米国の同時多発テロをきっかけにできた世界的な船舶保安システム(ISPS)で厳しく一般の立ち入りが制限されている。さらに、長い航海を経て到着するため日程が安定しない。見学者を募っても、そのリストを税関に提出を許可をとる必要があるため、10人程度の限られた人数しか案内できない場合も多い。
「外航船はみなさんの目に触れるところにはない。仕方がないねと思っていたわけですが、それでもいろんな障害を乗り越えて、普段見てもらえないものを見てもらおうと限界まで広げた。客船ターミナルにわざわざ貨物船を就けたところでは、今までありえないビッグイベントになりました」(同理事)
同協会の一般公開の見学者募集は、今も続いている。親子で夏休みの教材としても使えそうだ。
「いつもよりさらに、今年は馬力をかけてやっています。これからも続けられるところは、さらに続けていきたい。ぜひお越しください」(前同)