気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2015年7月2日付
● ギリシャ「延滞」IMF新たな支援停止資金供給欧中銀対応協議(読売・1面)
●新幹線に可燃物見直し、放火事件受け、国交省、JRに指示(読売・1面)
●景況感中小は厳しく、3期ぶり改善、業種、規模で格差、6月短観(読売・9面)
●人口減6年連続、増加は6都県、一極集中進む(朝日・3面)
●水素ステーション運営費も厚く補助、国とトヨタ・日産・ホンダ。目標100か所設置促す(朝日・6面)
●トヨタ一転、辞任容認、役員逮捕イメージ悪化回避(朝日・9面)
●ガソリン10週連続値上がり145円台(産経・10面)
●新車販売、6月2.2%減、6カ月連続マイナス、軽の増税響く(日経・14面)
●トヨタ中国販売1~6月10%増「カローラ」好調(日経・14面)
●レジャーボート利用開拓、ヤマハ発動機やヤンマー、株高追い風(日経・15面)
ひとくちコメント
会社を辞めるにもいろいろなケースがあるが、 麻薬取締法違反の疑いで警視庁に逮捕されたトヨタ自動車のジュリー・ハンプ常務役員の場合は、紛れもなく「引責辞任」だろう。
ハンプ氏は6月30日に弁護士を通じて辞任届を提出。トヨタも同日付で辞任を受理したという。初の女性外国人役員として鳴り物入りで4月に就任したばかりだったが、わずか3カ月でその座を去らざるを得なくなってしまった。
「真のグローバル化」を目指すために実施した目玉人事だが、最初のコーナーも曲がり切れずに、スタート直後にいきなりクラッシュ、壁に激突してしまった格好だ。
きょうの各紙も社会面などで「トヨタ女性役員辞任」などと報じたほか、経済面でも解説記事を取り上げている。このうち、毎日は「国際人材登用に課題、トヨタ戦略につまずき」とのタイトルで、「トヨタのイメージダウンは避けられず、逮捕翌日に会見してハンプ容疑者を擁護した豊田章男社長は、あらためて説明責任が求められそうだ」と指摘する。
また、産経も「トヨタ試練ブランドに傷」として「傷ついたブランドをいかに回復していくか、トヨタは試練に直面している」と伝えた。朝日は「トヨタ一転辞任容認」とのタイトルで「容疑者を信じる姿勢を強調していたトヨタが辞任を受け入れたのは、逮捕による企業イメージの悪化を防ぐことを優先した結果とみられる」と解説。
読売は「事件は、日本のトップ企業・トヨタの危機管理や人材登用に大きな教訓を残している」と強調。「日本での生活に不慣れな外国人でも力を発揮できるよう、支援体制を早期に作り直すことが課題となりそうだ」としている。
トヨタではハンプ氏の「辞任」を受け入れたことで、早期の幕引きを狙っているようだが、これがトカゲではなく大きなワニの尻尾切りだけに今後の処理も面倒臭い。勇み足とも思えた豊田社長による緊急会見といい、事件の全容が公に判明しないうちの迅速な”処分”といい、熟慮に欠いたような今回の危機管理対応は後顧に憂いを残すことにならなければいいのだが…。