【ものづくりワールド15】川重のロボットソフトウェア、教示時間と生産コストを大幅に低減

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ロボット自動教示ソフトウェア「KCONG」を導入した川崎重工業の産業用ロボット
  • ロボット自動教示ソフトウェア「KCONG」を導入した川崎重工業の産業用ロボット

さまざまな製造ソリューションが並ぶ「日本ものづくりワールド2015」で、画期的なロボットソフトウェアを紹介したのが川崎重工業の子会社、川重テクノロジーだ。なんでもそのソフトウェアを使うと、教示時間と生産コストが大幅に低減されるという。

その名は「KCONG(ケーコング)」。Kawasaki Common Offline NC data Generatorの略で、ロボット自動教示ソフトウェアだ。通常、産業用ロボットに作業させる動作プログラムの作成には「教示」という工程が必要だ。これは、あらかじめロボットを動かし、姿勢、動作、座標などを順を追ってコントローラーに記憶させる工程である。

さらに、プログラムを完全なものにするためには、ロボットに動作を再生させながら検証と調整を繰り返す作業も必要になってくる。そのため、大きなプログラムともなると、作成に数週間も要することがあり、多品種少量生産が進展するなかで大きな課題となっていた。

その課題を解決したのがKCONGだ。それは、ワークの3次元CADデータからロボット動作プログラムを自動生成してしまうのだ。そのため、専門技術者がいなくても、教示時間を数分の1から最大10分の1程度まで短縮できるそうだ。当然、教示時間が短縮できれば、生産コストも大幅に下がる。

「うちがこのようなソフトウェアを開発できたのは、産業用ロボットをつくっているということが大きいと思います。なにしろロボットのことを隅から隅まで知っていると言っても過言でないですからね。通常、ロボットのソフトウェアは専門のソフトウェア会社がつくっていますが、ロボットのことを知らないとここまでのものはできないと思います」と同社関係者は話す。

価格は標準で500万円で、ロボットとセットとなると1000万円ほどになってしまうが、同社では教示時間と生産コストが大幅に低減されれば、導入するメリットは大きいと考えており、このソフトウェアの将来性について大いに期待している様子だ。

《山田清志》

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