インディアンはかつてハーレーと並ぶアメリカン製モーターサイクルを代表するブランドだった。長らく途絶えていた時期もあるが、紆余曲折を経て蘇ったインディアン・モーターサイクルは現在、世界的なATVメーカーのポラリス社によって運営されている。その新生インディアン初となる水冷エンジン搭載のミドルウェイト・クルーザーが『スカウト』である。ちなみに「スカウト」の名称は、映画『世界最速のインディアン』としても知られる、かつての名車から受け継がれたもの。“走りのモデル”であることをうかがわせるに十分だ。インディアンの主力モデルは、空冷OHVの1.8リットルVツインエンジンを搭載するフルサイズのツアラーやクルーザーである。一方のスカウトは同じVツインでも新設計となる水冷DOHCの1.1リットルを搭載し、アルミ鋳造フレームやクラス最軽量レベルとなる250kgの車体でまとめられた新世代のインディアンである。排気量や車格といい、見た目のサイズ感や取り回しの重さは、だいたい国産ビッグネイキッドと同程度といったところ。跨ってみるとまずシートの低さに安心する。小柄な女性でも両足べったりだろう。低速でターンしてみるが、この手のクルーザーとしては小ぶりでホイールベースも短いため、思った以上にコンパクトに曲がれる。前後16インチホイールと太すぎないタイヤのおかげでコーナリングも軽快だ。エンジンはVツインらしい鼓動感があり、低中速トルクに厚く、高回転では滑らかなパワーも味わえる。けっして伸びるエンジンではないが、そこそこ回しても楽しめるスポーティさも併せ持っている。現行インディアンの中では、最もスポーツ寄りのモデルであることは間違いないだろう。かつての名車の面影を残しつつモダンなセンスでまとめられたフォルム、彫刻のようなエンジンの造形美、本革製のサドルシートなど、大人ライダーの所有欲を満たす質感の高さが魅力。手頃なプライスにも惹かれる。■5つ星評価パワーソース:★★★★フットワーク:★★★★快適度:★★★タンデム:-オススメ度:★★★★★佐川健太郎|モーターサイクルジャーナリスト早稲田大学教育学部卒業後、出版・販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。(株)モト・マニアックス代表。バイク動画ジャーナル『MOTOCOM』編集長。日本交通心理学会員。MFJ公認インストラクター。
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