「次の武蔵浦和駅で車内整備のため少々停車します」。連休明け最初の週末、府中本町行き武蔵野線電車の車内で車掌のアナウンスが流れた。武蔵浦和駅のホームには、駅員1人と座面部分のシートを抱えた作業員2人が待機していた。
電車のドアが開くと、作業員のひとりがこの列車内に入り、長いシートを抱えてホームへ出てきた。入れ替わりに、待機中に抱えていた新しいシートを車内へと持ち込み、なれた手つきで設置していく。
「業務連絡、車内整備終了」。駅員が伝えると、乗客が新しい座席に座り始め、ドアが閉まった。その間わずか1分。取り外されたシートの裏面には「使用できません」という内容が記された張り紙が貼ってあった。
スタッフのひとりは、「シートが何らかの事情で汚れてしまい、連絡が入ったので武蔵浦和駅で交換することに。電車を長時間止めて汚れたシートを交換するわけにもいかないので、通常運行させながら、途中駅で交換する。それまで(汚れたシートを)裏返して『座れません』という張り紙を貼っておき、できるだけ早いうちに交換する。こうした交換作業に対応できる駅が首都圏にはいくつかある」と話していた。