アメリカ国務省は5日、日本政府から要請されていた垂直離着陸可能なティルトローター機「V-22オスプレイ」と、同機に使用されるエンジン等の予備パーツ販売を承認した。FMS(対外有償軍事援助)によるもので、30億ドル(約3600億円)規模となる。オスプレイがアメリカ国外に供給されるのは今回が初。
FMSによる販売(譲渡)がアメリカ議会によって承認されたのは、MV-22オスプレイの機体17機分と、エンジンや電子機器などの予備パーツ40基分。機体本体は「ブロックC」と呼ばれる最新モデルで、新造されたもの。予備パーツは調達する機体の倍量以上となっている。販売が承認された予備パーツの内容から判断するに、日本へ供給されるのはアメリカ海兵隊が使用している「MV-22」相当になるようだ。
契約の特徴的な部分は「予備パーツを潤沢に取得している」ということだが、FMSという枠組みでの調達は「アメリカ側で議会の承認を要する」ため、パーツが必要になった時点で申請しても、販売承認までに長期を要する。修理期間を長引かせないため、「将来的に必要となることが想定されたパーツを先んじて購入しておいた」という一面がある。
また、調達する予備パーツの数が非常に多いために全体の価格は上昇しているが、FMSによる調達の場合は「販売価格に開発費用などが上乗せされる」ことが常態化している。予備パーツの数が本体数の倍量であることを考えると、現在のアメリカ向けオスプレイの価格(約86億円)に、開発費の一部負担額とパーツ代の合計額(約30億円分)を上乗せした金額が1機あたりのものと考えた方がいいだろう。日本政府は当初「1機あたり100億円」での調達を目指していたが、こうすることで近似値となる。
オスプレイはアメリカ国内向けであっても他のヘリコプターと比較にならないほどの高額となっているが、他に代替性のない最新鋭の機材と考えれば妥当な金額ともいえなくもない。