T5という5気筒を示す符合を使いながらも4気筒エンジンに変更された『V40クロスカントリー』が登場、試乗の機会を得た。
従来のT5は5気筒の意味であったが、今度のT5の5はエンジンの出力を比べた場合、上から5番目の出力という意味だという。このエンジンはすでにV40の「Rデザイン」に搭載されているが、AWD(4WD)との組み合わせは初めて。ミッションは8速のATとなる。
エンジンは低速トルクがたっぷりとあるタイプで、まるでディーゼルエンジンのような雰囲気。スペックシートによれば最大トルクは350Nmで、その発生回転数は1500~4800rpmと低回転でワイドバンド。スペックシートのフィーリングが素直にそのままフィーリングとして感じられる。8速のATのシフトチェンジもスムーズに行われ、ショックはほとんどない。
エンジン回転が上がらずに速度を増していける感覚はじつに気持ちいい。エンジンを使い切るといったライトウエイトの楽しさとはまた別の余裕のある走りで、いわば大人っぽい上級のフィーリングを味わえる。アクセルペダルをゆっくりと開けても、しっかりとした力感を持って加速していく。アクセルペダルをグイッと踏み込んでやると、今度は別世界へ行くようなドッカンとした加速を味わえる。
100km/h時のエンジン回転数は7速で1900回転。マニュアルモードを選んで8速に入れるとエンジン回転は1500回転まで落ちるが、すぐにシフトは7速にダウンされてしまう。つまり、8速で100km/h走行は実質不可能。この理由を聞いてみたが、調査中とのことで明確な回答はもらえなかった。
足まわりはしっかりと動くタイプの味付けながら、安定感は高い。スイスイ動き、ガッシリと路面をつかむタイプの味付けで、V40の車格にピッタリと合っている。225/50R17サイズのタイヤを履くが、乗り心地も悪くない。
エマージェンシーブレーキなど10種の安全装備「インテリセーフ10」が標準で装備されるなど、ボルボらしく安全に関しても充実している。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活躍中。趣味は料理。