【ホンダ ステップワゴン 新型発表】パッケージング検証…居住性と使い勝手アップの秘密とは?

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ホンダ ステップワゴン 新型と旧型
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5代目となるホンダの新型『ステップワゴン』は「パッケージング一番」をうたうファミリーミニバン、多人数乗用車だ。

先代とのパッケージング上の大きな違いはまず、室内空間拡大のため、ボディーサイドを直角近くまで立てたこと。結果、ルーフパネル幅は45mm広がり、室内側の天井幅も1列目席で40mm、2列目席で45mm、3列目席で35mm広がっている。

さらにルーフライニングを薄型化して、全高+25mmを上回る室内高+30mmを実現するとともに、先代より天井角のラインを丸め、視覚的な広さを演出している。天井の角が角張り、仮想線を視認すると、人は狭さを感じるからだ。結果、身長172cmの乗員の頭上スペースは1列目席で約20mm、2列目席で約40mm、3列目席で30mm増えている(すべて実測値)。

もっとも、フロントウィンドウ下端からステアリングまで、ホイールセンターからペダルまでの距離は先代とまるで同じ。先代ユーザーでも、メーターの見え方は別にして(先代はステアリングの中から、新型はステアリングの上越しに見る)、視界、運転感覚に違和感を覚えることはない。

つぎにパッケージングの肝となる人の座らせ方も先代とは異なる。ヒップポイント地上高こそ1列目席は先代より5mm高いだけで、2/3列目席は変わらず。しかしエンジンルームをコンパクト化し、ボンネット前後長を40mm短縮。同時に1列目席を40mm前に出し、2/3列目席のニースペースに余裕をもたせている。そのほとんどは3列目席ニースペースの拡大に使われているとはいえ、身長172cmのドライバーのドライビングポジション基準で、前後610mmのスライド量(先代は300mm)を持つ2列目席で最大360mm(先代+25mm)、3列目席に至っては100mm(先代+55mm)のゆとりを実現しているのだ。

後席の着座爽快(そうかい)感を高めるシアターレイアウトは先代同様。2列目席が1列目席に対して40mm高く、3列目席が2列目席に対して50mm高くセットされたエレベーションを継承する。

3列目席居住空間の拡大は「先代の3列目席は狭かった」というユーザーの指摘に応えたものだが、実は3列目席の居住スペース拡大にはもうひとつ理由がある。それは新型のハイライトのひとつでもあるわくわくゲート(テールゲート)の横開きサブドアから乗降できるようになったこと。これまでスライドドアからしかアクセスできなかった3列目席の乗降性が格段に向上したことで、3列目席の実用性が高まるのは当然。ゆとりある居住スペースが不可欠になったというわけだ。

2列目席にキャプテンシートを標準化したのも(先代はベンチシートが標準)、1-3列目席スルー&サブドアからの乗降にこだわったからであり、新型ならバックドアから運転席へアクセスすることも可能になったのだ。

そのわくわくゲートは実用面でさらなるメリットをもたらしている。先代のバックドアを開くには後方に約1020mmものスペースが必要で、場合によってはクルマを前に出さなければならなかった。しかし新型はわくわくゲートに3段階で開くサブドアを設けることで、後方突出量は380/540/760mmで済む(高さが180mm増したバックドア全体を横開きすると1200mm必要)。小さな荷物の出し入れなら1段目、人の乗降でも2段目で可能となる。

加えて、サブドアから3列目席にアクセスできるようになったため、スライドドアから3列目席へ乗り込むための2列目席チップアップスライド機構を廃止。その結果、2列目席ヘッドレストは先代のチップアップ前提の埋め込み式から一般的な形状となり、大型化されたため、引き出さずに使えるようになった点も進化と言えるだろう。

新型ステップワゴンは左右非対称ボディーもまた特徴だが、バックドアが非対称なのはサブドアのオープナーを適切な位置に配置するためで、左リヤクオーターウインドー部分が下にえぐれているのは、子供の“人気席”となるはずの3列目席左側に子供が座ったとき、外の景色が見やすくなる機能を持たせたからだ。3列目席外端からリヤクオーターウインドー下端までの高さは右側が400mmであるのに対して左側は330mmと70mmも低い。これなら小型犬でも!? 外の景色を楽しみやすいはずだ。

そんなミニバンとしてかつてない”第五のドア”を備えた新型ステップワゴンは大人も子供もわくわくさせてくれるミニバンの新たな楽しさ、実用性を創造したことは間違いない。ぜひとも周到なパッケージングが生きる「わくわくゲート」の感動に値する使い勝手のよさを実際に体験していただきたい。

《青山尚暉》

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