【インタビュー】スポンジでタイヤノイズは低減できるのか?…ダンロップ 技術サービス部 竹内氏に聞いた

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住友ゴム工業 ダンロップタイヤ営業本部 技術サービス部の竹内二郎氏
  • 住友ゴム工業 ダンロップタイヤ営業本部 技術サービス部の竹内二郎氏
  • 特殊吸音スポンジを搭載する「VEURO VE303」
  • 特殊吸音スポンジは、水を弾く材料で作られており、タイヤの微妙な伸縮にも耐性を持たせた
  • タイヤが回転する際に生じる微妙な伸縮にも耐えうるように開発された、特殊吸音スポンジ
  • トレッドパターンでもノイズの低減を図っている「VEURO VE303」
  • タイヤの内部にスポンジをつけることで、音の波がスポンジに吸音されホイールや車軸、ボディへ伝わりにくくなっている
  • 特殊吸音スポンジを搭載する「VEURO VE303」
  • 特殊吸音スポンジを搭載する「VEURO VE303」

パターンノイズ、ロードノイズという言葉は聞いたことがあるが、それは一体どんなものなのだろう。ダンロップでは“特殊吸音スポンジ”を使ってノイズの低減を図っており、ラインナップの中では「VEURO VE303」と「LE MANS 4」に搭載している。果たして本当にスポンジでノイズが低減できるのか。

今回、ダンロップタイヤ営業本部 技術サービス部の竹内二郎氏にノイズについて話を聞いてみた。

「タイヤから発生している音というのは主に2つあります。一つは、タイヤの表パターンから発生している“パターンノイズ”と呼ばれる音。タイヤと路面が接触した時の空気の圧縮や溝から噴出される音で、主にクルマの窓のほうから透過してきます。これは、周波数的には高周波なものとなっています。もう一つは“ロードノイズ”と呼ばれるもので、タイヤと路面の間で起こった振動が、タイヤ、ホイール、車軸と順々に伝わって、クルマの中のある部材に共鳴して音を発生します」。

ロードノイズの中でも250Hz前後のノイズは、クルマの固有振動数に近く、従来は共振≒ノイズを抑えるのが難しいといわれていた。その常識を覆し開発されたのが、“特殊吸音スポンジ”なのだという。

「タイヤの中は、空気が密閉され管楽器のようなものなのです。タイヤの内部にスポンジをつけることで、音の波がスポンジに吸音されホイールや車軸、ボディへ伝わりにくくなります」(竹内氏)。

空洞共鳴音といわれるのがこの周波数なのだが、タイヤの中に発生するこの周波数のノイズを抑えた結果、ボディの250Hz付近にある固有振動数との共鳴も抑えることができ、最終的にノイズが低減しているということなのだ。

さらに竹内氏は「材質も家庭で使うスポンジとは全く別物。タイヤが回転すると微妙な伸縮を繰り返すわけですが、これがずっと繰り返されるので一般的なスポンジではすぐ劣化して粉になってしまうのです。また、タイヤの内部の水分と結びつくとこれも劣化の原因になってしまいますので、この“特殊吸音スポンジ”は、水を弾く材料で作られている。ただのスポンジではなく、耐久性や静粛性の効果を高めるため実はすごくたくさんのノウハウが込められています」と語る。

また、VEUROは吸音スポンジだけでなく、トレッドパターンではラグ(横)溝を減らしてパターンノイズの低減を図り、ショルダーブロックの大きさを5種類にした5ピンチカオス配列を採用している。タイヤの構造面でも“ハイブリッドバンド”と名付けられた、バンド(=キャップレイヤ)によってスチールベルトの動き(≒振動)を抑え効果を発揮するものを採用するなど、様々な面からノイズ低減の工夫が凝らされているのだ。

《斎藤聡》

斎藤聡

特に自動車の運転に関する技術、操縦性に関する分析を得意とする。平たくいうと、クルマを運転することの面白さ、楽しさを多くの人に伝え、共有したいと考えている。そうした視点に立った試乗インプレッション等を雑誌及びWEB媒体に寄稿。クルマと路面との接点であるタイヤにも興味をもっており、タイヤに関する試乗レポートも得意。また、安全運転の啓蒙や普及の重要性を痛感し、各種セーフティドライビングスクールのインストラクターも行っている。

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