コンパクト・クロスオーバー、『CX3』は最近のマツダ車のセオリーに則ってクラスを超えたプレミアム感を待たせている。
大きなマスクにロングノーズ、躍動感のあるスタイルも好感が待て、あえてキャビンの広さにこだわらないところもこのスタイルを実現させたが、実際のキャビンは決して狭いことはない。
シンプルでスマートなインテリアも心地よく、パッケージの工夫でドライバーが足を延ばした自然なドライビングポジションが取れるので、サイズが1クラス大きく感じる。後席は決して広くはないが、見た目よりは余裕があって、レッグルームも問題ない。前席と後席を37mm高くしているので、後席に座っても明るさがある。ラッゲージルームはマツダ得意の二段に使える2WAYカーゴで見た目以上は使い勝手がよい。
1.5リットルディーゼルターボは270Nmの太いトルクが、幅広い回転で使えるので、加速力は粘り腰の力強いものだ。ガソリンエンジンのような伸びやかさはあまりないが、ディーゼル特有の太いトルクは魅力だ。サイズが小さいからと言って侮ってはいけない。大量の荷物を積んでの登坂や高速クルージングもCX3の得意科目の一つなのだから。スタート時に一瞬躊躇いを見せるが、ほとんどのユーザーは気にならないだろう。
フットワークの良さはマツダらしいところで、ハンドル応答性の良さや、コーナリンググリップの高さも満足が行く。ステアリングの操舵力もよくチューニングされていると思う。
18インチタイヤはちょっとオーバーサイズ気味に感じるところもあり、ボディとのマッチングで荒れた路面でややバタつくこともあるが、総じて良く履きこなしている。安全性能もレーダークルーズコントロールや、ブラインドスポットモニターをはじめ、搭載車種を幅広くして充実させている。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★
日下部保雄|AJAJ会長/モータージャーナリスト
大学在学中からモータースポーツに参戦し、卒業後は専門誌をはじめ雑誌等に新型車の試乗レポートやコラムを寄稿。新型車や自動車部品の評価、時事問題の提起などの分野で、TVのモーターランド2、自動車専門誌、一般紙、WEBにおいて活動。またその経験を活かした講演、研修などに携わる。ドラインビングインストラクターとして、安全運転のためのドライビングスクールを主宰するなどの実際面からの安全へのフィードバックも行っている。2006年よりAJAJ会長に就任。