【インタビュー】2020年の民間用途ドローン世界市場は1.3兆円超に成長…フロスト&サリバン

航空 企業動向

フロスト&サリバン 航空・宇宙・防衛部門アナリスト スティーブン・ウェッブ 氏
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  • ヤマハ発動機 産業用無人ヘリコプター
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調査会社フロスト&サリバンで航空・宇宙・防衛部門のアナリストを務めるSteven Webb(スティーブン・ウェッブ)氏は、商用利用の無人航空機システム(ドローン)市場が米国での法整備が進展すれば、2020年には1.3兆円超の市場規模に拡大するとの見通しを示した。

◆技術的に先行する米国だが、法整備や世論が普及の足かせに

-----:ここ最近の世界における非軍事用途ドローンの利用トレンドについて、ウェッブ氏はどのように見ていますか。

ウェッブ:商用利用のドローンの導入事例としては、法的機関、海賊警備監視、インフラの管理、危険物の検出、群衆監視、災害監視、人命救助、国境警備、農薬散布などで使われている。これらの用途別の傾向は国や地域によって大きく異なっている。

先進国の多くではドローンの商用利用を可能にするための取り組みが行われている。とくにオーストラリアは商業目的でのドローン利用の認証や措置といった面で進んでいる。理由としては国土が広大で人口密度が低く、ドローンの利用価値が高い点にある。また欧州ではドローンの空域での商用利用に関する体系的なアプローチを行っている。

----:ドローンの技術開発をリードする米国での状況は。

ウェッブ:米国ではドローンの軍事目的の利用は盛んだが、興味深いのは商業利用に関する法的整備が他の先進国に比べて遅れていることだ。

その背景にはいくつかの要因があるが、まずはFAA(米連邦航空局)による規制が非常に厳しい。FAAはドローンの運用を行える企業や団体を選定するためのライセンスを発行しているが、オーストラリアやカナダ、他の新興国と比べると、米国はより慎重なアプローチをとっていることが分かる。

またドローンによってパイロットが職を失ってしまうことを防ぐためのロビー活動が盛んに行われていることもある。さらにドローンに対するプライバシー保護や衝突、墜落など安全性に関するコンセンサスがまとまっていない点も要因としてある。


◆日本では調査目的のドローン活用に需要あり

----:日本でのドローンの活用状況をどうみていますか。

ウェッブ:日本では長年、農業などの用途における垂直離着陸機(VTOL)が利用されている。今後は海岸警備などの分野や、災害時のモニタリングやその調査などの分野での活用でのニーズが今後数年で伸びていくとみている。

また日本は高齢化社会にあることから、ドローン技術がインフラの調査や交通管理などの課題に対処できる有望な手段となることが期待され、幅広い分野での導入が見込まれる。

----:新興国でのドローンの市場性をどう見るか。

ウェッブ:イスラエルやトルコでは軍用でのドローン活用が盛んに行われているが、シリアの緊迫化で他の中東諸国ではテクノロジーに追い付くのに苦労している。中南米では多くの商用ドローンメーカーが農業分野で多くの経験を積んでおり、商用ドローン活用で最も速いペースでの成長している。ブラジルではサッカーのワールドカップ開催時に群衆監視に使われた。

アフリカでは国境警備、野生動物の保護、農業分野などで商用ドローンのビジネスチャンスがあるとみているが、貧困国が多く存在しているため、ビジネスが成り立つようになるまでには10年以上はかかるだろう。

----:商用ドローンの2015年の市場見通しは。

ウェッブ:法整備など空域に関わる複雑な背景によって、2015年内の実用化は限定的に留まるだろう。人口が密集した地域の上空を飛行する際の安全に関する懸念があり、費用対効果がどの程度であるかについても、現時点では明確になっていない。ホビー向け・商用を含めた民間用途ドローンの2015年のグローバルでの市場規模は前年比36%増の44億ドルとみている。


◆推進力やバッテリー、通信など解決すべき技術課題は多い

----:米国での今後の進展はどうみていますか

ウェッブ:米国では定年を間近に控えているパイロットが大量にいるので、今後ドローンに置き換わっていく可能性はある。もちろん、そのタイミングで商用飛行に関する各種の規制がクリアになっていることが前提となるが、これらの課題がクリアされれば、今後非常に大きな成長が期待できるだろう。

----:商用ドローンの市場拡大に向けての技術的な課題はありますか

ウェッブ:ドローンの技術進歩は今後さらに重要になってくる。例えば群衆監視の際にカメラを搭載しても支障なく飛行できる推進力やバッテリーの能力。またその映像データを伝送する通信技術など、ただ飛行するだけではなく、地上との通信手段の向上もカギになってくる。

----:ドローンがテロなどの破壊行為に悪用される懸念は

ウェッブ:ドローンの価格が安くなってきているので、悪用されやすくなるという懸念は確かにある。だが、そうした破壊行為をしようとする人物はドローン以外の他のものでも企てようとするので、ドローン自体に問題があるのではなく、破壊行為を防ぐことが重要だ。


◆ドローンの市場的・技術的な成熟は20年かけて進む

----:商用/ホビー用途ドローンの中期的な市場成長をどうみていますか。

ウェッブ:2015年は44億ドル程度だが、アメリカを含む各国での法規制の整備や取り組みが進展することを前提にすると、2020年には110億ドル(1.3兆円)近い市場規模になり、軍事用途の市場規模を超えると予測している。

----:ドローンが自動車のように日常生活に溶け込んで、世の中を変えていくような存在になるまでどれくらいの時間が必要とお考えでしょうか。

ウェッブ:自動車の場合は車道だけの規制や法整備で済むが、ドローンになると宇宙も含めたすべての航空エリアが関わってくるので、とくに国際的な規制面などで課題がある。これらの課題解決には莫大な労力がかかるため、5年や10年では無理だと思う。20年は必要だ。

《聞き手:小松哲也 北島友和》
《小松哲也》

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