【インタビュー】VWタンネベルガー専務「自動運転技術はキーコンピテンシー」

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フォルクスワーゲン フォルクマル・タンネベルガー 電子・電装開発部門担当専務
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フォルクスワーゲン(VW)電子・電装開発部門担当専務のフォルクマル・タンネベルガー氏は1月14日、東京ビッグサイトで開催中のオートモーティブワールド2015会場内で報道各社とのグループインタビューに応じた。

この日、基調講演にも登壇した同氏は、VWが示す次世代技術として、運転支援技術、モバイルと自動車のつながり、人間を中心としたインターフェースの重要性などについて紹介。中でも自動運転技術については、自動車メーカーが備えておかなければいけない能力とした上で、その実用化には技術だけではなく、法規制やコストなど複数の課題をはらんでいると指摘した。


◆VWグループが考える、「自動運転と自動駐車」

----:自動運転技術に対するVWの取り組みは

タンネベルガー氏(以下:敬称略):VWグループでは自動運転と自動駐車を明確に区別している。自動運転はアウディが担当し、VW単体としては自動駐車を担当している。またグループ全体でモジュール戦略をとっているので、基本的にはアウディが開発する自動運転の技術はVWでも使えるし、VWが開発した自動駐車システムに関してもアウディを始めとするグループ傘下のブランドでも使えるようになっている。


----:実用化のロードマップは

タンネベルガー:自動駐車を実現していくためのファーストステップは自動駐車パイロットで、これはドライバーがハンドルから手を離した状態でも自動的に車を駐車スペースに誘導してくれるという技術。その次のステップは車の外から、例えばスマートフォンなどを使って、車が駐車するのをコントロールするという技術を考えており、最終段階として完全な自立駐車につながっていくとみている。すでにVWは自己学習型駐車に関しては量産が可能になっている。さらに半自動駐車に関しても、どのモデルに搭載するのが最もふさわしいかという検討を行っている最中だ。

ただ、そうした過程の中でVWにとってコストが非常に重要になってくる。自らをボリュームサプライヤーであると位置づけているからで、そのためコストの高くないセンサーに依存せざるを得ない。レーザースキャナーといった高額なデバイスは現時点で使うことはできない。


----:アウディがアメリカで自動運転の走行テストを実施したが

タンネベルガー:シリコンバレーからラスベガスまでの550マイルを自動運転するというテスト走行は成功裏に終わった。完全なる自立走行であり、全く問題がなかったということでVWグループとして持っている技術そのものは、すでに成熟しており、量産に向けての技術的な準備はほとんど整っているといえる。

ただ問題はやはり法的規制で、世界中で自立走行が許されているところはないので、これはまさに(実用化の)タイミングを図るにあたっては技術の問題というよりは法的あるは規制の側面が大きくなると思う。

さらに複数のセンサーを使うことで初めて安心、安全な自動運転が可能になる。このため今の技術でそれを行おうとするとコストに跳ね返ってしまう。それだけに自動運転というのは技術だけではなく、法規制やコストなど複数の課題をはらんだ複雑なものである。


----:グーグルが無人運転車の開発を進めていることについてどう捉えているか

タンネベルガー:自動運転およびそれに関連する技術は将来、自動車メーカーが備えておかなければいけないキーコンピテンシー(カギとなる能力)になると思う。なぜならそれが安全に大きな貢献をするからだ。

グーグルは現在、自動運転あるいはネットワークトカーといったコンセプトをどんどん開発してきているが、これはまさにこの技術が、これから追求するのに正しい技術であることを示している。さらには顧客にとっても正しいフィーチャー(機能)であることを示しているにほかならないと思う。すなわち自動運転に対する大きな需要があるからこそ、グーグルは自らで造って市場に出そうとしていると考えられる。

こうした自動運転はある意味、2つの業界がお互いに今、それぞれの領域に歩み寄ろうとしていることを示すものであると思う。これまで全く別の業界だった自動車とITの世界が、今や両者が歩み寄ることによって同じフィールドで同じ顧客を相手にしたビジネスケースを作り上げようとしている。

それゆえに自動運転技術は自動車メーカーにとってキーコンピテンシーであることを認識する必要がある。その背景としてはまず自動車のダイナミズムを十分理解しているのは自動車メーカーであり、また車がどのようなふるまいをするのかという情報をもっているのも自動車メーカーだからだ。


◆FCVの準備はできている

----:燃料電池車(FCV)に対するVWの取り組みは

タンネベルガー:FCVといっても基本的には電気自動車(EV)プラス水素を使ったレンジエクステンダーと考えることができると思う。実はFCVもVWの全体的な電動車両の戦略の中には含まれており、将来的にはEVとFCVの両方が使われるようになるとみている。

すでにEVは量産化されているのに対し、FCVに関してはまだ基本的な問題が存在していて多くの改善が求められている。いかにFCVを社会の中で使っていくのかということを考えた場合に、まず重要なのはどうやって水素を造るかということだと思う。水素を造るにあたり再生化エネルギーを使ってできなければ燃料電池自体がグリーンテクノロジーではなくなってしまう。

またコストがまだかかるということや、さらに大きな問題としては世界的なインフラ整備がある。こうした基本的な問題が解決されて初めて、自動車メーカーとしてFCVを世に問うことができるのではないか。VWとしてはインフラの問題が解決しさえすれば、燃料電池の技術を実際の車両に搭載して世に問うことをスピーディーに行うだけの用意はできている。


----:電動化車両に関してはテスラがEVの関連特許を、またトヨタ自動車がFCVの関連特許を無償提供することでデファクトスタンダードを構築しようとする動きがあるが、VWはどうみているのか

タンネベルガー:トヨタの発表に関しては最近のことなので我々として十分検証していないのでコメントできないが、テスラの特許についてはしっかりと精査した。その結果、新しいものは何もなかった。


----:先ほどFCVを世に問うための準備はできていると話していたが、トヨタが保有する特許がなくても実用化は可能か

タンネベルガー:特許の内容が現段階で把握していないので具体的なコメントはできないが、一般論としていえば、VWのやり方としては新しい技術を開発するのにあたって、必ず関連するような技術が競合他社にあるかをチェックするし、またブランドとして持たなくてはならない技術はどこにあるのかということをしっかり見極めて、その上で他の自動車メーカーやサプライヤーとの協力がどの部分が必要であるかを定めている。

その一方で、特許を取得してから数年後に業界として標準化するのにあたり必要に迫れられて特許を公開するようなやり方はしたくないと思っている。もし技術の公開や標準化が必要であれば最初からその取り組みをすべきだと考えている。特許の無償提供というのは、おそらくキャンペーンとしてすごく効果はあるし、マスコミ受けすると思うが、この業界での協力の取り組み方としては別の方法があるのではないか。


----:タカタ製エアバッグの大量リコールが世界的問題となっているが、メーカーとしての対処法は

タンネベルガー:同じサプライヤーから複数の自動車メーカーが供給を受けることでコストを下げられるというビジネス上のメリットがでるわけだが、しかし、そのコンポーネントに何らかの不具合が発生してしまうと、そのメリットを大きく上回ってしまうという事態も起こり得る。これはある意味、マス市場に対してフォーカスをあてているということのディスアドバンテージのひとつといえる。

ただVWの方針として、システム統合とシステムのテストに関しては、完全に自分で行う。VWの研究開発部門の技術陣は、開発を担当する者よりも統合テストや検証にあたっている技術者の数が多い。そこにこそメーカーの責任があると思っているからだ。もちろんそのためには実際にそのコンポーネントが使われた時にどのようなふるまいをするのか、またダイナミックな挙動はどのようなものになるかという理解は十分に行わなければいけないと思っている。
《小松哲也》

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