【オートモーティブワールド15】フォードが語るモビリティの未来…つながること、持続可能なこと

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基調講演「モビリティの未来(The Future of Mobility)」フォード Research&Advanced Engineering部門 技術事業戦略室ディレクターJohn Sakioka氏(オートモーティブワールド2015、1月14日、東京・有明)
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  • フォードResearch&Advanced Engineering部門 技術事業戦略室ディレクター、John Sakioka氏
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1月14日、東京ビッグサイトにてオートモーティブワールド2015が開催。基調講演にフォードからはジョン・サキオカ氏が登壇した。講演タイトルは「モビリティの未来」。

日系三世のアメリカ人というサキオカ氏は35年以上にわたりフォードに勤続。現在はフォードのResearch & Advanced Engineering部門技術事業戦略室のディレクターとして情報システム、社外提携などの分野でグローバル統括を務める。

講演の冒頭でフォードが全社的に取り組んでいるグローバル“ONE FORD”戦略や製品目標およびブランドの柱となる考え方を紹介。続いて現在の自動車業界を取り巻く世界的な変化をどう捉えるか、また変化へ対応するためイノベーションを加速させるべくフォードが重視しているマインドセットについて説明した後に“コネクティビリティ”、“サステナビリティ”など今日重視されている課題にむけての、フォードの青写真を提示した。

◆現在の自動車業界を取り巻く世界的な変化をどう捉えるか、

自動車業界を取り巻くグローバル成長環境について「将来にわたり世界的に成長すること、それに伴っておきる変化は自動車業界にとり重要なところ。今日70億人の人口が2050年までに90億人に達すると推測されており、これに並行して現在10億台あるクルマが2050年には40億台に達すると推測されている。人口・クルマの増加と同時に都市化も進む、するとメガシティと呼ばれるように都市の拡大膨張が進む。これはアジアで特にみられる。このような状況では、これまでより広範囲に交通渋滞や交通の停滞もおきかねない。空気汚染も依然として課題だ。」と将来的課題に広く言及した。

このような成長に伴う変化以外でも、社会的なトレンドの変化へも注視すべきだという。「2050年までにグローバル平均寿命が65歳から75歳に延び、高齢者人口が増加することにより社会福祉関連費用が増大し、財政が圧迫されること。教育、雇用、社会的アイデンティティの中での女性の地位が向上すること。」などあらゆる分野で起きつつある変化を指摘した。

◆産業をリプレイスするイノベーションを加速させる

このような変化に対応するためにも「イノベーションは重要な要素」だという。シリコンバレーに脈々と受け継がれるようなイノベーションマインドセットはフォード社のDNAとして常に浸透させる、とサキオカ氏は強調する。

なお、ここでいうイノベーションマインドセットとは(1)リスクを取ること、(2)慣習にとらわれず伝統だからよし、とはしないこと、(3)あらゆることを当たり前と思わないこと、(4)テクノロジーカーブに乗ること、(5)顧客体験がどうか、に意識を集中すること、(6)迅速に行動し常に新しい物事を採り入れること、を指すという。

「現在わたしたちの(自動車)産業はまさに急速な発展期を迎えており、イノベーションの転換地点の真上に立っている。すなわり私たちがリーダーたる存在になろうとしているのです。このとき、イノベーション領域は相互に関係しながら社会的なトレンドを変え、今後どこまでをなに産業というか、の輪郭を引きなおしてしまう。だから我々は今、潜在的には産業をリプレイスするようなイノベーションに取り組んでいるといえるのです。

注意しなければならないのは、イノベーションを引き起こす主体は個人でもチームでもどちらでもありうること。重要なのは問題が存在するときに、問題に対処するための新しい方法を見つけ、その問題が世界をよりよい場所にするために探求されているということ。

イノベーションがおきるようなマインドセットを受け入れるためには、私たちは問い続けなければならないし、習慣に異議をとなえつづけなければならない。常に賢くリスクを取らなければならない」。

◆サステナビリティの観点での強みは車両軽量化 

最後にサキオカ氏は将来的にどのようにしてコネクティビリティ、サステナビリティを実現したいか、展望を語った。

コネクティビリティについては「短期的には音声での通話や音楽再生、指先で運転中でも携帯電話やメディアプレーヤーの機能操作を可能とするSYNCの利用とMy Lincoln Mobileの導入をおこなう。中期的には乗り物をつなげキャパシティの拡大に努める。最新技術を搭載し乗り物同士をコネクトする。長期的には完全に統合されたコネクティビティの達成を目指す。無線通信を経由して外部記憶装置や有線通信で行われてきたデータの送受信などが無線通信に対応するようにし、ビッグデータの活用も進める。」

サステナビリティについては、二酸化炭素排出量の目標減少量を述べながら説明した。「短期的には今ある技術を大規模に活用して15%減少させる、中期的には持続可能な軽量化、電動化の拡大をすすめて35%。長期的には電動化を更に進めて代替可能エネルギーを活用し50%超の減少を目指す」という。

このうち、特に乗り物の重さを減らすことはフォードの考える持続可能性にとってカギとなる重要な要素という。さらに「フォードはアルミニウム板による成形やハイボリューム用の熱処理およびアルミ二ウムの使用比率の高いクルマの、ホワイトボディ(body in white:塗装する前のボディシェル)アプリケーションにおける開発や製造においては自動車業界をけん引する存在だといえると考えている。」と同社の強みについて語った。

《北原 梨津子》

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