米航空宇宙局(NASA)は12月5日に行われた新型宇宙船「オリオン」試験飛行中、クルーモジュール窓のカメラがとらえた映像の中から、大気圏再突入~太平洋上着水部分を19日、公開した。
「オリオン」クルーモジュール窓のカメラがとらえた映像データの大部分は、地上に送信されていたが、大気圏再突入時に生じる「ブラックアウト」により、データ受信が一時途切れていた。今回公開された映像は、宇宙船がプラズマに覆われていた時の、途切れていた部分となる。
映像の序盤、大気圏再突入時の速度は時速3万2000キロメートル、最大温度は約2200度近くに達していた。熱が上昇するにつれて、プラズマの色は白、黄、薄紫、深紅へと変化。パラシュート放出・開傘後の速度は時速32キロメートルまで低下していた。着水後、クルーモジュールはNASA、米海軍、ロッキード・マーティン社の合同チームが回収した。
今回の無人試験飛行は、火星への有人飛行に向けた重要な一歩であり、エンジニアにとって宇宙船システムの重要箇所(特に熱シールド)を検証する好機となった。なお、次回の「オリオン」試験飛行に用いられる打ち上げロケットは、新型ロケット「スペース・ローンチ・システム(SLS)」に決定している。