MINI『ハッチバック』に5ドアが登場し、立ち位置が微妙になった『クロスオーバー』だが、魅惑的なディーゼルが登場してきた。
BMWのディーゼル人気はこの日本においても圧倒的に高く、ディーゼルが選べる車種については半数以上がディーゼルらしい。新世代に生まれ変わったMINIに比べ、クロスオーバーはひとつ前の流れをくむため、インテリアにももはやレトロ感が漂う。センターパネルの大きなスピードメータは、そろそろいかがなものかと突っ込みたいが、ハンドル越しに見えるタコメーターの数字が、5000rpmからレッドゾーンになっていると、ディーゼル感に期待が高まってくる。
エンジンをスタートさせると、ディーゼル音がわずかに耳に届く。正直なところ、都会で試乗する限りでは周囲の音のほうが大きく、自車の音は気にならない。しかも、走り出せば風切り音やタイヤのロードノイズの方が気になるという状況である。
もっとも、車外は別。さすがに車外はディーゼル特有の音が響き、早朝の住宅地ではご近所づきあいを円滑にするためにはアイドリングは最小限にする癖をつけたいものだ。しかし、音はともあれトルクの頼もしさは期待どおりである。アクセルを踏んだところから、ぐぐっと出てくる感触は包容力抜群。さらにスポーツモードへと切り替えると肉食的な走りへと変わる。受け止める優しさと攻撃的な横顔。二面性を持つ人は魅力的だが、クルマでも同じことが言えよう。
『MINI ハッチバック 5ドア』と圧倒的に違うのは、着座位置の高さ。ベイブリッジやレインボーブリッジ、はたまたお近くの見晴らしのいい道を走るときは、その効果が実感できる。これは明らかにSUVテイストの、クロスオーバーならではの特権である。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材中するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。