日立、EVの航続距離を従来の2倍に伸ばせるリチウムイオン電池の技術を開発

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高エネルギー密度電池技術の概要
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  • 電気自動車の日産 リーフ(参考画像)

日立製作所は、電気自動車(EV)のフル充電1回当たりの航続距離を、従来の2倍にする電池技術を開発したと発表した。

開発した電池技術は、電極の厚さを従来比2倍にし、充放電できるリチウムイオン量を増加させることでエネルギーを高密度化する。従来、厚膜化すると、電極に含まれるリチウムイオンを出し入れする活物質の分布が不均衡となり、リチウムイオンの移動が妨げられることで出力が低下していた。

今回、電極構造を3次元で可視化できる技術を開発し、リチウムイオンの移動の特性を明らかにし、活物質の分布を最適化することで高出力を実現した。

また、負極は、活物質の一つとして従来、炭素系材料が広く使われている。リチウムイオンを出し入れする性能が高いシリコン系材料は、充放電を繰り返すことにより、粒子が膨張伸縮し、粒子同士の孤立化が進行することで寿命が低下するため。

今回、孤立化を抑制するため、導電性表面処理を施したシリコン系材料と、その粒子同士を強固に結合させる高強度バインダを用いることで、従来材の炭素系材料が使われている負極と同等程度の寿命を実現できることを解明した。

正極は、充電電圧を高電圧化することで充放電できるリチウムイオン量を増やすことができるが、高電圧化すると電解液が分解され、寿命が低下する。このため、正極材料の表面に酸化物を被覆することで電解液の分解を抑制、高電圧化しても長寿命化を可能とした。

今回開発した技術によって、EVの電池容量である30Ah級セルの場合、エネルギー密度が335Wh/kgと従来比で約2.6倍となり、出力密度1600W/kgの初期性能を達成した。EVの航続距離を約2倍にできる見通し。

日立は今後、開発した技術を用いたリチウムイオン電池を2020年頃に実用化することを目指して研究開発に取り組む方針。

《レスポンス編集部》

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