三菱自の決算、増収増益でも喜べない現実…益子会長「下半期は慎重に」

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三菱自動車本社(参考画像)
  • 三菱自動車本社(参考画像)
  • 三菱 アウトランダーPHEV
  • 三菱 パジェロ
  • 三菱コンセプト GC-PHEV(ジュネーブモーターショー14)
  • 三菱コンセプト AR(東京モーターショー13)

三菱自動車が10月29日に発表した2015年3月期第2四半期決算は、売上高1兆351億円(前年同期比11.4%増)、営業利益627億円(同23.3%増)、純利益609億円(同30.3%増)と増収増益を達成した。しかし、経営陣の顔には笑顔がなかった。

「いま世界で起きていることを考えると、今後の景気については厳しい面があるという認識を持っている。具体的には、米国の量的緩和政策の行方、中国経済の減速、西欧の景気後退懸念、日本経済の回復の遅れ、エボラ熱感染の拡大、イスラム国の問題、ロシア・ウクライナ紛争、新興国経済の陰りと、ちょっと考えただけでもいくつもの問題がある」と益子修会長は話す。

そのため、「下半期については慎重にならざるを得ない」と、通期予想の売上高を期初計画の2兆3000億円から2兆1800億円へ下方修正し、営業利益、純利益は据え置いた。特に深刻なのが、同社が強いタイとロシアの販売の落ち込みだ。タイは10万台から7万2000台に、ロシアは9万1000台から6万8000台に今期の販売計画をそれぞれ引き下げた。

また、日本についても、14万7000台から11万台へ下方修正。この数字はピーク時(1995年度)の『パジェロ』の年間販売台数とほとんど変わらないものだ。当時は年間約82万台売り、「2位の日産の背中が見えてきた」と喜んでいたものだが、今はその面影すらなく最下位に沈んでいる状態だ。しかも、これといった売れ筋の車もなく、存在感は年々薄れてゆく感じだ。

昨年度に累損解消、優先株の処理を果たし、再生を完了した三菱自動車だが、厳しい現実に直面しているといわざるを得ない。

《山田清志》

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