10月上旬、台風18号に続き19号も立て続けに日本に上陸。空気が一気に入れ替わり季節は本格的に秋へと移ろいだ。しかし、秋は足早に過ぎ去りあっという間に冬将軍がやってくる。そしてクルマ乗りとしてはその前にどうしてもやっておかなければならない冬支度がある。
最近のクルマは冷却水やウインドウォッシャー液などもほぼ支障のない状態となっていて、そのまま冬が来たところで大きな問題が起きることはあまりない。しかし、タイヤだけはそうはいかない。雪が降る前にスタッドレスタイヤに交換しなければ、クルマのもつ“機動力”という大きな魅力は一気に失われてしまう。
少し前までスタッドレスタイヤの交換は雪が降る直前まで待ち、ギリギリのタイミングで行う傾向があったが、今は余裕を持って秋のうちに交換し備えるのがトレンドだという。そこで、現場の生の声を聞くべく東京都大田区のタイヤプロショップ「タイヤセレクト久が原」を訪問、清水基之店長に話を聞いた。
雪が降ったときはどんな状況になるのか
----:昨年の大雪のときなどの状況を教えていただけないでしょうか
清水基之氏(以下敬称略):このあたりは坂も多い地域で、雪が降ってしまうと身動きが取れなくなるクルマも多いのです。当店は早め早めの交換をうながしていますが、それでもやはり天気予報で雪マークが出ると、作業はフル稼働になりました。
----:そうした場合、対応しきれるものなのですか?
清水:お客さまも困っていらっしゃるのでできる限り努力しますが、タイヤの在庫がなければその日の対応は不可能です。組み替えも順番になってしまいますから、待ち時間も長くなります。近くにお住まいのお客さまについては、クルマをお預かりし、空き時間に作業を進めるような方法で、とにかくすき間なく作業し続けるような状況になります。雪が降ってしまうと、動けなくなったお客さまから出張作業の依頼を受けますが、さすがにそういった状況の場合は対応しきれないですね…。
降雪後の混雑を避けるためにも早期装着を
----:早期装着最大のメリットは何でしょうか
清水:なにより急に雪が降ってもそのままクルマに乗れることにあります。クルマに一番乗りたいのは天候不順のときですから。それと交換時に待たずに済むというもの大きなメリットになると思います。タイヤがあるのかどうか? ヒヤヒヤしなくてもいいですしね。
----:早く交換してしまうと、どんどん減ってしまう心配はないのですか?
清水:ダンロップの最新スタッドレスタイヤ『ウインターマックス』は、従来モデルに比べて49%もライフ性能が向上しています。つまり3シーズン使えたスタッドレスタイヤが4.5シーズン使えるということになります。増えた1.5シーズン分を毎年の装着開始時期に振り分けられると考えれば、かなり前から装着しても大丈夫だということがわかっていただけると思います。
----:ウインターマックスはドライでの性能も高いと思うのですが
清水:以前のタイヤに比べると格段にドライ性能が高くなっています。グニャグニャした感じがあまりなく、夏タイヤとしての性能もかなり高くなっています。
----:また、タイヤは慣らしが必要だと思いますが、スタッドレスタイヤはどのような慣らしを行えばいいでしょうか
清水:スタッドレスタイヤでも夏タイヤでも、新品のままではその性能を100%引き出すことはできません。いわゆる一皮剥いた状態にしないと、本来持っている性能を引き出せません。夏タイヤは100km走行ぐらいで慣らしが終わりますが、スタッドレスタイヤは200km走行ぐらいの慣らしが必要です。その意味からも早期装着をおすすめします。慣らし中は高速走行や急加速、急ブレーキ、急ハンドルを避けることが大切です。
タイヤ保管サービスも活用を
----:スタッドレスタイヤの購入、交換はどういう方法がおすすめですか?
清水:購入、交換ともに予約して行うのがもっともおすすめです。販売店に必ずしも在庫があるとは限りませんし、特殊なサイズの場合はどうしても品切れになるのが早いですから、とくに予約をおすすめします。もちろん、作業についても予約して行ったほうが待ち時間が短くてスムーズです。
----:交換したタイヤの保管はどうしたらよいのでしょうか。
清水:当店では有料で保管サービスを行っています。ホイールに組まれた状態での夏タイヤや冬タイヤを保管するサービスです。交換時には空気圧はもちろんタイヤの状態をしっかりチェックして、ローテーションも同時に行いますので、安心してタイヤを戻すことができます。
冬将軍が訪れる前に万全の準備をしておけば、降雪時のいざというときも安心だ。冬タイヤ装着時の夏タイヤの置き場には困るかもしれないが、今回取材したタイヤセレクト久が原のように、タイヤ保管サービスも扱っているショップもある。タイヤ選びのみならずウインタードライブについてのアドバイスも聞いてくれる親身なショップを見つけることができれば、快適で安全な冬のカーライフを送れることだろう。