国立天文台は、アルマ望遠鏡でアンテナを差し渡し7kmの範囲に展開した干渉計試験に成功した。
アルマ望遠鏡は、アンテナ群の中心から3本の「腕」を伸ばすようにアンテナを展開させるが、今回初めてその3本の腕にアンテナを置いた試験観測を実施し、無事に成功した。
今回の試験観測では、天体画像は取得されていないが、高解像度観測の実現に向けた大きな一歩となる。
アルマ望遠鏡のような「電波干渉計」では、アンテナの間隔を離せば離すほど解像度が向上する。アルマ望遠鏡は2011年から科学観測を行っているが、その中で使われているアンテナの展開範囲(基線長)は最大1.5kmに限られている。これは、アルマ望遠鏡が観測する電波(ミリ波・サブミリ波)では、遠くに設置したアンテナでとらえた信号どうしを組み合わせて画像にすることが難しく、装置や観測手法がうまく機能することを確認しながらアンテナ間隔を広げていく必要があるため。
今回の試験観測は、広い範囲に展開したアンテナがひとつの望遠鏡として問題なく機能するかどうかを確認するために行われたもの。
今回の長基線試験観測は今後2カ月ほど継続し、当面の目標として最大11km程度のアンテナ間隔での観測の実現を目指す。こうした試験観測を経て望遠鏡が機能することを確認した後、世界の天文学者が長基線観測を実行できるようになる。