気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2014年9月10日付
●錦織「悔しさ忘れない」全米準V(読売・1面)
●ブータン全車EV化計画、日産が協力、人口74万人車社会見据え(読売・8面)
●ディーゼル車好調、マツダ(読売・10面)
●円、1か月で4円安、106円台、リーマン直後の水準(朝日・1面)
●成田、国内線も使用料、来春から、一人800~900円徴収へ(朝日・1面)
●ロゴ自在のQRコード、デンソー子会社(毎日・7面)
●カルテル課徴金、13億円納付命令、ベアリング会社に(毎日・26面)
●揺れる日産ゴーン体制、幹部流出、在任15年「トップ立てぬ」(産経・2面)
●輸入車、札幌に最大級店舗、フィアットクライスラー(日経・11面)
●アマゾン、オートバックスと提携、ネットで注文、店舗で装着(日経・11面)
ひとくちコメント
全米オープン男子テニス決勝で錦織圭選手は残念ながら準優勝に終わったが、日本テニスの躍進ぶりを印象づける「歴史的偉業」(産経)だったといえるだろう。その「歴史的」という表現で忘れられないのが、為替の動向だ。
その為替相場が東京外国為替市場でも一時1ドル=106円台をつけ、2008年10月以来、約5年11カ月ぶりの円安となった。きょうの各紙も「円、1か月で4円安、106円台、リーマン直後の水準」(朝日)などと報じている。
先行きの見通しについても「年内の想定レンジは110円台前半まで進行する」と予想している専門家もいるほどだ。
思えば、わずか3年前は1ドル80円台を割り込むという「歴史的」な超円高が進行。自動車や電機などの輸出産業の経営者は悲鳴を上げていた。それが安倍政権発足により日銀の異次元の規制緩和の影響で円安が進み、トヨタ自動車などの企業業績も急回復した。
ただ、最近の「円安」の記事を読んで不思議に思ったことは、円高のときには大騒ぎしていた自動車業界からのコメントが見当たらないことだ。
きょうの「一時1ドル106円台」の記事でも、自動車の話題はない。日経が目立たないように「4~9月期決算予想」の中で「営業増益率でみるとトヨタ自動車など大手3社よりもマツダや富士重工業、三菱自動車といった国内販売比率が相対的に低い中堅に分がありそう」と分析。
しかも「円安効果が薄れる中、コスト削減額をどれだけ上積みできるかも増益率を左右しそうだ」としている。
北米向けなど輸出拠点としても一世風靡した日産の追浜工場も生産ラインの一部を技能研修のための道場に変身。工場長の説明によると稼働率は5割程度という。もはや自動車は輸出産業とは呼べなくなったが、その傾向は「黙して語らず」でも最近の株価の動きを見れば一目瞭然である。